『新聞を開いて僕は世界を知った』を代表標語にした第72回新聞週間が15日にスタートする。新聞週間にちなみ、「第5回日本海新聞・児童生徒新聞感想文コンクール」(新日本海新聞社、日本海新聞を発展させる会主催、鳥取県教育委員会後援)の最優秀賞受賞作品を紹介する。
コンクールは、次代を担う児童生徒が新聞に親しむとともに、記事の感想文を書くことで読解力や表現力、社会への関心を高めてもらうことがねらい。今回は小学生の部に59点、中学生の部に303点、高校生の部に477点、合わせて839点の過去最多の応募があり、12日に表彰式が行われた。
応募作品には、新聞を開いて知った出来事に問題意識を持ち、独自の調査を加えながら考えをまとめた力作も多く見られた。
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小学生の部・坂本麻央さん(明道小5年)
2月13日の日本海新聞「池江選手が白血病公表」を読んで
この日、私は新聞が読みたくて朝5時に起きました。前日の夜、水泳の練習の時に、池江璃花子選手が白血病になったニュースをコーチから聞いて、信じられない気持ちでいっぱいでした。練習後にテレビを見たかったのですが、夜の9時を過ぎていたため、母に止められました。ドキドキしてなかなか寝つけませんでしたが、目覚まし時計が鳴ると、すぐに跳び起きて新聞を読みました。
私は記事を何度も読みました。涙がどんどんあふれてきました。スポーツ面にも社会面にも池江選手の記事がのっていました。頭の中がぐちゃぐちゃで、ただ泣くことしかできませんでした。水泳が大好きで、毎日練習に励んでいる私にとって、池江選手は本当にあこがれの人です。
学校でも、水泳のクラブチームでも、池江選手の話題でいっぱいでした。ただ、みんなは私とちがって、テレビやネットの情報をたくさん知っていました。
私は「だれかがテレビでこう言っていた」とか「ネットにはこう書いてある」という情報があまり好きではありません。もちろん、本当の事もありますし、調べ物をするのに、ネットはとても役に立ちます。
テレビは視聴率を上げるために、多くの人が興味を引くことを大げさに取り上げることがあると感じます。ネットはうわさ話も本当の事のように書いてあることがあります。
新聞は情報が正確で、公平に書いてあります。何度も読み返すことができて、わからないことは自分で調べてみようという気持ちが芽生えてきます。自分で調べたことは記憶に残りやすく、とても勉強になります。
私は図書室で白血病についての本を借りて、血液の病気やがんのことを知りました。それから、白血病になった人たちの闘病記もたくさん読みました。確かな情報を信じて、池江璃花子選手が白血病を克服する日が来るのを願っています。
《受賞コメント》
2年連続で賞をもらえてうれしかった。市内のクラブで水泳をやっていることもあり、池江さんの病気のことを知って衝撃を受け記事を読みました。ネットと違って新聞の情報は残るし、後で調べることもできて勉強になると思いました。
中学生の部・中村潤奈さん(鳥取東中1年)
日本海新聞「汽水化で水質改善の湖山池 釣り人もトラブルも増」を読んで
私は、7月18日の日本海新聞に載っていた「汽水化で水質改善の湖山池 釣り人もトラブルも増 カルガモ受難、漁具にも被害」という記事に興味を持ち調べることにしました。
最初に、新聞の題名の「汽水化で水質改善」という意味が分からなかったので、インターネットで調べたり、実際に湖山池に行き、この記事について「湖山池情報プラザ」で働いておられる方に話を聞いたりしました。
湖山池は、古代は日本海の湾であった場所が砂丘の発達や堆積により、海と分離されてできた「海跡湖」らしいです。湖山池には数本の河川が流入していて、さらに、湖山川によって日本海とつながっているそうです。湖山川にある水門を閉めることで、海からの海水が入ってこなくなり、ほとんど淡水の池になりました。
その湖山池の水を周りの水田の農業用水として利用したり、石がま漁が有名ですが、コイやフナの漁業が盛んに行われています。しかし、次第に水質が悪化し、アオコの大量発生があり悪臭が増え、周辺住民への悪影響が問題となっていたそうです。そのため、水門の開放を求める声が大きくなり、7年前の平成24年に水門が開放されました。
水門の開放で水質が改善されたようですが、逆に海から池への海水の流入で水の塩分濃度が高くなり、コイやフナが大量に死んでしまったこともあったそうです。そのようなことがあり、今では塩分濃度が高い水門の下半分を閉め、塩分濃度が低い水門の上半分を開けて、適度な塩分が流入するように工夫されているそうです。
さて、新聞の記事に戻ると、そういった湖山川の水門の開放により、日本海の海水が湖山池に流入することになりました。その流れにのって、アザラシが池で発見されたこともあり、今は、海水と淡水が混ざる汽水域を好むスズキが湖山池に入ってきているそうです。そのスズキを釣るため、近年ルアー釣りをする客が増え、その結果、今回の記事のようなことが起きたということでした。
このルアー釣りでスズキが釣れるということも、誰かがSNSなどにアップした結果、拡散したとのことでした。湖山池でコイやフナを取ることは漁業権の関係で禁止されていますが、スズキを取るのは禁止されていないそうです。そのため、新聞の記事のようなことが起きており、鳥など自然の生き物が被害を受けているそうです。
私も実際行ってみて、たくさんの鳥を見つけました。そのような鳥が巻き込まれ、被害が及ぶのはいけないと思いました。この記事について調べ、湖山池には多くの問題があることを初めて知りました。ルアー釣りのことだけではなく、湖山池にごみを捨てて帰る人もいるそうです。ルールを守ることは当たり前のことです。みんながルールを守ると、きれいな湖山池、そして、さらにはきれいな鳥取県になるのではないでしょうか。
《受賞コメント》
文章を書くのは得意でないので、受賞はとてもうれしいです。記事を通して湖山池で釣り糸に野鳥が絡まる被害が発生していることを知り、一生懸命調べました。みながルールを守り、きれいな湖山池にしてほしいです。
高校生の部・森田紗代さん(米子高専3年)
6月25日の日本海新聞「閉店相次ぐ地域スーパー 買い物難民、市街地でも」を読んで
家から車で行ける場所にディスカウントスーパーがいくつか開店した。「安くて品ぞろえの良いスーパーは地域を活気づける」という私の考えを変えたのはこの記事だ。
記事によると、県外資本の大型店進出によって、地域に根差した従来型スーパーの閉店が相次いでいるらしい。確かに私自身、以前通っていたスーパーには行かなくなっていた。久しぶりに行くと、客の大半が高齢者だった。
もし、近所のスーパーがなくなっても、私はディスカウントスーパーに通って問題なく暮らせる。だが、これまでに通っていたスーパーを失った高齢者にはいくつかの問題が生じる。例えば、私の祖父は車で遠いスーパーまで行かなければならなくなるが、高齢者の交通事故が問題となっている今、祖父が運転するのは心配である。また、近所のスーパーの閉店によって、不便になることや近所の人と出会う場所をなくすことに落胆する高齢者の声がこの記事につづられていた。私が行かなくなった地域スーパーでも、高齢者には必要なのだ。特に、高齢化が進んでいる鳥取県では、地域スーパーが果たす役割は大きい。地域スーパーを守らなければならない。
地域スーパーを守るのは高齢者のためだけではない。私はこの記事を読んでから、県外資本の店ではないか気にするようになった。今までは平気で県外資本の店に行っていたが、地元のためにお金を使いたいと思うようになった。これは、私だけでなく地域の人全員が意識してほしいことである。家計には安いチェーン店で買い物をした方が良いのかもしれない。しかし、地域全体の経済を考えると地元の店の方が良いに決まっている。私たちが地域スーパーで買い物をして地域スーパーを守ることで、地元の経済に貢献することができる。
私は、多少高くても地域スーパーを利用するようにして、地域スーパーを守っていきたい。高齢者と地元のために。
《受賞コメント》
授業で題材として使われた新聞記事の中から、最も身近に感じられたこの記事を選びました。高齢者と地元のために地域スーパーが続いてほしい。ネットではよくニュースを見ますが、これからは新聞も読むようにしたいと思います。
小学生の部
【最優秀賞】 |
坂本麻央(明道5年) |
【優秀賞】 |
山本真央(神戸小5年)
神木希(就将小5年)
浦川蘭世(神戸小5年) |
【優良賞】 |
村本弥桜(船上小5年)
韓奇叡(久松小5年)
坂本萌ノ香(神戸小5年)
石田紗来(二部小6年)
石戸谷咲帆(車尾小6年)
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【優秀学校賞】 |
神戸小 |
中学生の部
【最優秀賞】 |
中村潤奈(鳥取東中1年) |
【優秀賞】 |
平国はるな(後藤ケ丘中3年)
小林愛実(若桜学園中8年)
岸本菜心海(鳥大付中1年)
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【優良賞】 |
桝大希(福米中2年)
並河清太郎(鳥大付中1年)
石原希光(三朝中1年)
浜根光琉(湯梨浜学園中3年)
大橋颯人(岸本中2年)
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【優秀学校賞】 |
鳥大付中 |
高校生の部
【最優秀賞】 |
森田紗代(米子高専3年) |
【優秀賞】 |
橋原栄見(鳥取西高1年)
森正晴(米子高専3年)
縄田美香(青翔開智高3年)
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【優良賞】 |
吉田奈未(鳥取湖陵高3年)
宮萌々菜(湯梨浜学園高1年)
米村南美(鳥取西高2年)
石本夏海(青翔開智高2年)
田中星良(鳥取敬愛高2年)
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【優秀学校賞】 |
米子高専 |
【主催】新日本海新聞社 、日本海新聞を発展させる会 【後援】鳥取県教育委員会
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