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最優秀作品紹介
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 「無関心 やめると決めた 今日の記事」を代表標語にした第75回新聞週間が15日から、始まる。新聞週間にちなみ「第8回日本海新聞・児童生徒新聞感想文コンクール」(新日本海新聞社、日本海新聞を発展させる会主催、鳥取県教育委員会後援)の最優秀賞受賞作品を紹介する。

 コンクールは、次代を担う児童生徒が新聞に親しみ、読んだ記事の感想文を書くことで読解力や表現力、社会への関心を高めてもらうのが狙い。今回は、県内の個人と学校20校から、小学生の部69点▽中学生の部175点▽高校生の部329点−の計573点の応募があった。

 対象記事は、昨年に続いて新型コロナウイルス禍にある日本社会や福祉の動き、今夏の参院選に伴う若者の投票率、7月に起きた安倍晋三元首相襲撃事件、値上げの動きが加速する日本経済などの内容が多かった。ほかに、世界に目を向けてロシアのウクライナ侵攻や核兵器廃絶にも関心を示していた。

 ※作品は一部用語の新聞表記への変更を除いて原文のまま。

  最優秀賞作品紹介
小学生の部・坂本 理央さん(醇風5年)
8月20日の日本海新聞 「視覚障害者外出を支援 同行援護なり手不足」を読んで
 私は夏休みに、神奈川県へ行きました。

 大きな駅にはとてもたくさんの人がいました。電車を待っている間、ふと見ると、白じょうを持って歩いている方がおられました。

 白じょうのことは知っていましたが、実際に持っている人を初めて見たので、つい目で追ってしまいました。その方の側には女性がいて、並んで歩いておられました。

 その時は、駅には大勢の人がいて、だん差やホームもあってあぶないから、ご家族といっしょなのだろうと思っていました。

 鳥取に帰って来て、新聞で同行えんごじゅう事者のことを知り、駅で見かけた方のことがパッと頭にうかびました。いっしょにいた女性は同行えんごじゅう事者の方だったのかもしれません。

 鳥取県内に同行えんごじゅう事者の資格がある人は三百五十人もいるのに、しょうがい者福し協会に登録している人は十三人しかいないことにおどろきました。

 記事の中で岩田さんは、京都に住んでいたころは週に三回制度を利用されていたのに、米子市に引っ越してからは月に四回までと利用回数がへったそうです。また、利用したいと思ったら、すぐに利用できるのではなく、あらかじめ前の月の十日までに予約しなければならないそうです。急用がある時など、いったいどうされているのか、とても心配です。

 都会とちがって人口が少ない鳥取県では仕方がないのでしょうか。鳥取県に住んでいて、同じ制度が利用できないのは本当に残念です。

 私が今まで白じょうを持った方を見かけた事がなかったのは、外出したくてもできない方がたくさんおられるという事かもしれません。

 同行えんごじゅう事者の資格は、取るのが大変だったようですが、見直されて本年度から高校生も対象となったそうです。私も高校生になったら、ぜひ資格を取って、困っている方のお役に立てられるようになりたいです。

《受賞コメント》
 夏休みに旅行したとき、駅で目が不自由で白杖(はくじょう)を持った方に付き添っていた人を見ました。家族かなと思っていたらそうではなく、記事の見出しにハッとして同行援護従事者の存在を知りました。誰でも自由に外に出ていけるよう、自分も高校生になったら資格を取って支援したいです。


中学生の部・河野 向日葵さん(湯梨浜学園3年)
7月28日の日本海新聞 「認知症、活動制限で悪影響」を読んで
 「面会制限で、ご家族と会えないまま亡くなる患者さんも少なくないんだよね」

 これはある日、母親が仕事から帰ってきた時にさりげなく言った言葉だ。私の母親は、看護師をしている。私はいつものことだと思い、ひとごとのように「そうなんだ」と聞き流す。そんな日々を毎日送っていた私は、この記事を読んだ時にハッとした。

 私の曽祖母は、先日九十二歳で亡くなった。今から約四年前、新型コロナウイルスが流行していない頃。私は曽祖母と一緒に外食に行ったり、買い物をしたりすることが大好きだった。曽祖母は大きな畑も持っていて、元気に野菜を育てていた。

 しかし、新型コロナウイルスが世界規模で広まり、世間が騒ぎ始めた頃だろう。外出することが難しくなったり、人と話す機会が減り、曽祖母は目に見えて弱っていった。曽祖母は、畑を一人では出来なくなった。また、歩くことさえ難しくなってしまったのだ。

 ある日、久しぶりに顔を出しに行くと、「あんたは、だれだいな」と笑顔で尋ねてくる曽祖母。悪気もなさそうに私の目を見つめて返事を待っていた。私は、名前を忘れられただけでなく、顔も忘れられてしまっていることが辛く、その場にいられなくなった。

 全てが新型コロナウイルスのせいだとは言い難いかもしれないが、この記事のように少なからず、私たち全ての人間に良い影響は与えていないと思う。

 実際、私の曽祖母は新型コロナウイルス感染予防のため、外出を控えるようになってから歩けなくなった。いよいよ危険な状況になってしまった曽祖母は入院した。その時、私の母親が同時に新型コロナウイルスに感染してしまった。最後、曽祖母が息を引き取る時でさえ、面会は許されなかった。

 この記事に書かれているように、もう少し病院の面会制限を緩めた方が良いと思う。十分な感染対策を行えば、感染リスクを下げることが出来る。そう考えると、面会して新型コロナウイルスに感染するリスクよりも、面会しないで認知症などの病気が悪化するリスクの方が高いような気がする。このことを少しでも多くの人に知ってもらい、考えてもらいたい。そして、今より少しでも病院での面会制限が緩和されることを願っている。

《受賞コメント》
 最初は別の記事で感想文を書きましたが、読み手の心を動かす文章にしたいと思い、自分の経験を基に書ける記事を改めて選びました。新聞を読むと自分の経験と比較して新たな発見があります。異なる価値観とも出合えて楽しいです。


高校生の部・諸家 佑奈さん(鳥取西3年)
5月16日の日本海新聞 「基地なき島 実現遠く」を読んで
 「基地なき島」実現遠く。この題名を見てはじめに思い浮かんだのは沖縄でした。おそらく、国民の多くが、沖縄のことだと連想すると思います。しかし、私たちはこの沖縄のことについてどのくらい知っているでしょうか。私はこの記事を読んで、はじめて、米軍統治下で児童福祉法が適用されず、支援の遅れで子どもの貧困率が全国の2倍であること、基地を中心とした経済構造だったため産業が育たず、県民1人当たりの所得が全国最下位であること、米軍専用施設面積は、本土復帰時の58・7%から70・3%にまで上がっていることを知りました。これまでで私が沖縄について知っていたことは、基地を移転するため、海の埋め立てを行っていること、米軍の訓練での音や落下物があることぐらいで、自分が、どれほど、沖縄について無関心であるのかを感じました。

 記事の最後には、沖縄県知事である玉城知事の言葉が載っていました。「沖縄だけではなく、国民一人一人の生活に関わる問題であることを共有してほしい」。

 この言葉を、どのくらいの人が正面から受け取り、向き合うことが出来るでしょうか。私は沖縄出身でもなく、そもそも訪れたこともありません。家族にも沖縄と関係がある人はいません。そして、家の近くに米軍基地はありません。なので、私が今この問題に無関心でいることは、けっして難しいことではないでしょう。しかし、私一人だけであっても沖縄が抱えている問題の一つだけに興味を持つだけでも、これらの問題を取りまく空気を変えていくことが出来ると思います。そして無関心から関心への変化は、問題解決への道のりで大きな支えになるのではないでしょうか。

 「基地なき島」の実現。これには沖縄の人々の声だけでなく、無関心な人、関心は持っているけど気にとめない人、その全ての人々の声が一つになった時から、実現への一歩を踏み出し始めるのだと思います。

《受賞コメント》
 記事に注目したのは、参院選を前に学校で主権者教育を受けたことで、社会問題への関心が高まっていたからです。基地問題から派生するさまざまな課題から、沖縄の人たちの大変な思いを知りました。伝えたいことをまとめるのに苦労しましたが、沖縄が身近に感じられるようになりました。


  入賞者の皆さん
小学生の部
【最優秀賞】 坂本 理央(醇風5年)
【優秀賞】 森川 遙人(岩美北6年)
野間田菜緒(船上4年)
高塚 昊生(船上5年)
【優良賞】 藤村 夢依(上灘6年)
高野 楓叶(船上4年)
寺岡 優希(城北5年)
山田 流雲(城北5年)
北野 莉央(浦安5年)
【優秀学校賞】 船上小
中学生の部
【最優秀賞】 河野 向日葵(湯梨浜学園3年)
【優秀賞】 米井 あまね(智頭1年)
岡田 明子(湯梨浜学園2年)
川上 蓮美(湯梨浜学園3年)
【優良賞】 鳥飼 綾乃(湯梨浜学園3年)
伊藤 美海(湯梨浜学園3年)
井上 歩美(江山学園9年)
坂口 咲華(江山学園9年)
竹中 千乃(名和3年)
【優秀学校賞】 湯梨浜学園中
高校生の部
【最優秀賞】 諸家 佑奈(鳥取西3年)
【優秀賞】 黒木 春華(鳥取西3年)
中林 真美(鳥取敬愛3年)
高取 あい(鳥取敬愛2年)
【優良賞】 北山 珠吏(鳥取西3年)
西尾  咲(鳥取敬愛2年)
小林 美郁(鳥取湖陵2年)
西山 京花(鳥取西3年)
山田 優奈(青谷1年)
【優秀学校賞】 鳥取敬愛高

【主催】新日本海新聞社 、日本海新聞を発展させる会
【後援】鳥取県教育委員会

   
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