第22回大伴家持大賞入賞作品(一般)
テーマ「白」
<大賞>
海風の強き砂丘で冬を越し「砂丘らっきょう」いよいよ白し
岸下 澄江(鳥取県鳥取市)
<準大賞>
図書館の奥から聞こゆ『白鯨』が青海原で跳ねる水音
合志 義文(神奈川県横浜市)
<入選>
逆上がりできた娘が声上げた風車見えたよ白い三本
小谷 直和(鳥取県鳥取市)
白黒の写真をなぞり過去へ飛ぶ若い母は私に似ていない
井上 菜月(神奈川県海老名市)
白波のくずおれるときあらわれるサーファーにつぎの波がきている
中下 重美(兵庫県丹波市)
<佳作>
ずっしりと重い白菜家苞に稚を抱くごと家路をいそぐ
吉野 勇雄(鳥取県三朝町)
時、五月。[核なき世界]めざすとし白き花の輪献ぐオバマ氏
長谷川 和子(鳥取県大山町)
盤上に未知なる時のおとずれて棋士は決め手の白石を置く
清水 重男(千葉県八千代市)
白鍵に指深深と沈ませて卒業式の全てが終る
金澤 謙吾(大分県大分市)
神主は塩、米、紙など白きものはらはら撤けり埋める井戸にも
斎藤 洋子(千葉県千葉市)
飯館村の大気汚染を濯ぐがに合掌している水芭蕉の白
中尾 恭治(鳥取県鳥取市)
白日傘角をまあるく曲がりけり陽射しくるくるころがしながら
仲田 裕美子(愛媛県伊予市)
こつこつと段差をさぐる白杖に男子生徒がそれとなく添う
坂本 佳子(鳥取県倉吉市)
この山のどこかに眠る君のため静かに揺れる尾根の白百合
木村 由里亜(大阪府豊能郡)
白酒をたっぷりかけて吊り終えぬ暮れには甘き干し柿となれ
川戸 稔功(鳥取県八頭町)