第24回大伴家持大賞入賞作品(一般)

テーマ「新」

<大賞>
避難指示解けてもどりし我が家には今日の新聞届きてをりぬ

信安 淳子(岡山県岡山市)

<準大賞>
新米が立っているよと子や孫が湯気あがりたる羽釜をのぞく

安藤 功(島根県安来市)

<入選>
新しい膝の使い方一つ得て介護士私は更新される

堀 眞希(広島県広島市)

夕焼けがいま塗り終えししゃんしゃんの傘の朱色のその新しさ

吉田 達彦(鳥取市)

牛たちに卒業証書見せて娘(こ)は新たな舞台に畜産選ぶ

石井 かおり(大分県日田市)

<佳作>
避難所や仮設暮らしを強いられた私はやっと新居に住まう

富谷 英雄(岩手県大船渡市)

しばらくは紙ナプキンに包まれたスプーンのような新入社員

田巻 由美子(新潟県燕市)

新しき街へと変はる被災地に光り曳きつつ蛍飛び交ふ

太江田 妙子(熊本県八代市)

新任の教師を待てる児童らは莢豌豆(さやえんどう)のごと窓に顔出す

阿部 昌彦(新潟県村上市)

新人の 朝の大きな 挨拶を セリヌンティウスの 気持ちで聞きぬ

澄田 修一(愛知県名古屋市)

新雪に光る富士山けふも見つ入所五日のははと並びて

呰上 洋子(神奈川県横浜市)

校門へ駈ける新馬のランドセル詰めた未来の重さも背負い

原口 朝光(佐賀県佐賀市)

新薬の小さき文字も目に入りぬ二十二年を病む子と待てば

佐々木 美由喜(鳥取県倉吉市)

「これならば一生抱いても大丈夫」新米パパが新生児抱く

川口 映子(鳥取市)

新じゃがの小粒ころころ煮ころがしかまつてみたくて竹串をさす

今井 早苗(島根県出雲市)