第25回大伴家持大賞入賞作品(一般)
テーマ「赤」
<大賞>
赤丸に「父」と書かれたカレンダー娘を訪ねた雪の山形
森山 高史(沖縄県大宜見村)
<準大賞>
山間の一人も子どもゐない村水湧くやうに赤とんぼ群るる
房安 栄子(鳥取県鳥取市)
<入選>
ぐりぐりと赤いクレヨン塗り込めた太陽ならぶ夏の絵日記
菊田 知和(大阪府大阪市)
わがむらへ十年振りに赤児生れ代りばんこに抱せてもらう
安住 光子(鳥取県智頭町)
まだできる鍬も打てると赤かぶの種袋の裏を読みて立ちたり
坂本 佳子(鳥取県倉吉市)
<佳作>
母は云う私の生まれた経緯を林檎の赤を磨きつづけて
近藤 尚文(福岡県久留米市)
赤色の勝負ネクタイしめなおし五時の会議の気合いを入れる
池中 健一(大阪府東大阪市)
赤毛種にはじまる北の米作り父祖らの夢の「ゆめぴりか」出づ
橋本 とおる(北海道札幌市)
もう一度アボンリーへと旅をする『赤毛のアン』の新訳を読み
田中 馨子(青森県蓬田村)
絵付師の呼吸が聞こえてくるような白磁に一本の赤薔薇の咲く
松村 美知子(神奈川県横浜市)
赤とんぼの流れ横ぎる一輪車腕を広げてバランスをとる
平家 陽子(鳥取県岩美町)
わが村に飛行場出来し昭和の日飛んで来た機は赤トンボなり
中井 孝子(鳥取県倉吉市)
子のノートにうさぎになってみたいとあり赤えんぴつの花まるは咲く
牛尾 可奈子(鳥取県鳥取市)
もう夫の履くことのなき革靴と赤きサンダル並ぶ夏の日
原 ヨリ江(鳥取県鳥取市)
シュッシュッタッリズムを刻む赤ペンの音七月の職員室にて
西川 佑子(鳥取県湯梨浜町)