第32回大伴家持大賞入賞作品(一般)
テーマ「声」
<大賞>
しあさってといふ言葉を知らぬ子の「あさってのあした」のゆるぎなき声
越野 泰徳(京都府)
<準大賞>
「おらすや」と祖母呼ぶおじのかすれ声沖の小イワシ置きて帰りき
服部 絹代(島根県)
<入選>
船寄するロープをたぐる女衆(おなごしゅう)セリ待つ揚場声は飛び交い
古澤 勝(鹿児島県)
解体の業者の声もしなくなりまた町内に空き地が増える
望月 浩之(静岡県)
蝉の声を知らぬきみへ語る〈蝉/聞こえる/夏〉とぼくらの手話で
松田理穂子(神奈川県)
<佳作>
「母さんに似てきたなぁ」と父に似し声の弟ゐて盂蘭盆会
くらたか湖春(滋賀県)
ははそはの妣はハマナス「わったいな」笑い声するふるさとの海
遠藤 幸子(群馬県)
慎重に口角戻し静寂は拍手へ変わりやり切った声
小林 寛久(三重県)
ヒバクシャの祖父がしづかになぞりゐる点訳本の凹凸の声
白仁野火人(福岡県)
ばあちゃんが幼き私を呼ぶ声がいんげん豆の中より聞こゆ
園田 真理(熊本県)
先生になりきっているその声を並んで聞いてるぬいぐるみたち
上山 尚子(鳥取県)
気がつけば笑ひ声たてるわれがゐてあなたの知らない時間を生きる
大熊佳世子(茨城県)
膝小僧四つ並べて声もなく蟷螂の子に挑まれてゐる
川瀬 和代(三重県)
切れのあるきびきびとした指先が滑舌のよい声となる手話
江島ゆう子(神奈川県)
夕立が蝉の声ごと洗い流してむきだしの夏が匂いたつ
箭田 儀一(広島県)