「なんだ、かっこわるい。」ぼくはおもった。
「キングはぜんぜんやくに立たないじゃないか。どろぼうがきたってまもってくれない。ぼくだったら、もっとちゃんとした犬をかうのに。」とおもった。「けいたもカミナリがなっただけでこわがってなさけない。おなじクラスのたつやをこわがるなんてよわ虫だ。」
ぼくははじめそうおもった。ぼくだったら、たつやなんかこわがらずにともだちになる。るすばんだって一人でできる。ぼくにはキングがいないけど、一人でちゃんとるすばんできる。でもまてよ。よくかんがえてみたら、ぼくは一人でるすばんしてなかった。おとうとのたかやといっしょだった。たかやは四さいだから、なんにもできない。でもいっしょに二かいでブロックであそべる。だからおかあさんにるすばんをたのまれたとき、
「たかやはおいていって。ぜったいおいていって。」といってしまう。ぼくが学校からかえったとき、おかあさんがおかいもののとき、たかやをおいていってほしい。だってたかやがいると二人であそべる。おばけのこともかんがえなくていい。けいたもそうだったのかな?だからこわくなかったのかな。そうおもったら、すこしはけいたのきもちがわかった。
けいたはキングをまもってすこしゆうきを出したから、たつやともなかよしになれた。この本をよんで、ゆうきを出すとともだちをつくれるってわかった。びくびくこわがっていたら、だれともともだちになれない。だれかをまもろうと一生けんめいになったら、ゆうきが出るんだってわかってよかった。
「たつやとともだちになれてよかったね。けいた、キングがきて本とうによかったね。」
(「キングがいればバッチリさ!」草炎社) |