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受賞作品 感想文部門


  入選
「ゆうひのしずく」を読んで

渕 志穂里
鳥取大学付属小学校2年


「ゆうひのしずく」 小峰書店


 わたしは、あまんきみこさんの本が大好き。読むと、心に春のそよ風がふいたようになる。外は雪。でも、この本を読みおわった時、わたしの心は、ぽかぽかあったかかったよ。

 「がんばれ。」きりんくんにはげまされ、つのの上まで登り切ったありくん。ぴかぴかわらって言った、「ぼく、今、空にいる。」っていうその気持ち、とてもよく分かる。わたしの家は、マンションの九階で、まどからのながめは、本当に自分が空にいるよう。鳥のむれ、日の出、日の入り、遠くの山のこう葉や雪化しょう。そんな地上では、ぜったいに見られない風景が、目の前に広がる。思わず見とれてしまう。でも、きりんくんには、どんなにきれいな景色も、遠く離れたお母さんや仲間を思い出して、なみだで悲しい景色になっていたんだね。だから、夕日を見ながら、だまってしまったんだね。そんなきりんくんに、かける言葉が見つからなかったありくん。わたしは、絵本の中にとびこんで、いつもわたしが悲しい時にお母さんがしてくれるように、きりんくんのことを、「ギューッ。」って、だきしめてあげたいと思った。ありくんも心の中では、きっと、「ぼくがそばにいるよ!」って一生けんめいさけんでいたと思うよ。そして、その声は、ちゃんときりんくんに聞こえていたと思うよ。だって、ありくんをそっと地面に下ろした時のきりんくんの目は、「ありがとう、ありくん。」って言っているもの。その時足元に見つけた赤いきれいな「ゆうひのしずく」のような花。これは、きっと昔お母さんとならんで見た、ふる里のあのきれいな夕日のしずくだったんだね。だから、見つけた時、心があったかくなったんだね。

 きりんくん、もうさびしくないね。かなしくないね。これからは、ありくんと一緒に、いろいろなものを、いっぱい見つけて、いつもぴかぴかわらっていられるよね。きりんくんのやさしいえ顔を見ていたら、わたしの心も、春が来たように、ぽかぽかになったよ。


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