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受賞作品 感想文部門
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阿部 吏沙子
米子市立福米東小学校5年
「さわってごらん、ぼくの顔」 汐文社
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「えっ何これ」。
「ちょっと気持ち悪い」
この本を手に取った時、正直に白状すれば表紙の写真がぎょうし出来なかった。そして、そんなふうに感じる自分の心が、何となく後ろめたかった。少し重い気持ちで本を開く。ページをめくり読み進めていくうちに、だんだんと本の中に入りこんでいった。そして、小学校に入学していじめられるテルちゃんを、手にあせにぎり、
「がんばれ、負けるな。」
と応えんしていた。テルちゃんをいじめるいじめっ子達に本気ではらが立った。
「何て心ないことを言うのよ。テルちゃんだって私達と同じ小学生だよ。」
と思わずどなってしまった。でも、ふっとわれに返った。
「私もさっき、心ない事を思った。あのいじめっ子達にあんなにはらが立ったのに。」
情けないような、悲しいような気持ちになった。本を読み終わってまた表紙を見た。今度は不思議と気持ち悪いと思わなかった。どうしてこんなに自分の心の中に変化がおきたのだろうか?よく考えてみた。
「そうか。本を読んで、テルちゃんの事が少しわかったからだ。相手を知ったからだ。」
私は、自分では、だれにでも公平に、誠実に接しようと心がけてきたつもりだ。人をみかけで判断してはいけないと思ってきた。学校の授業でも、しょう害者の人に対して、
「かわいそう」
と決めつけるのではなく、何か助けが必要であれば相手の立場になって、どういう助けが必要か聞くというし勢が大切だと学んできた。でも、この本と出会って、頭でわかっていても、それだけではだめだと思った。自分とちがう人へのへん見をなくすには、素直に相手を知ればいいんだとわかった。私の周りにいるたくさんの友達、みんな少しずつちがっている。悪口やかげ口があるのも、相手をわかっていないからではないのかなと思う。
テルちゃんはえらい。ご両親の広くて時にはきびしい愛情に支えられて、世の中にあるたくさんの差別とへん見とたたかっているからだ。心がきずついたこともたくさんあっただろうに、自分達の事を少しでも知ってもらおう、理解してもらおうと行動している。
差別とへん見とたたかう武器はただ一つ笑顔。自分の事をジロジロ見てくる人に、笑顔でおじぎする。なんてすごい武器なんだろう。ぞう悪にぞう悪で応戦すると、果てしなく暗い戦いになるけど、笑顔をプレゼントするなんて。私にはとても真似は出来ない。でも、この本を読んでこれだけは強く言える。
「もっともっと勉強して、知らないことを減らそう。たくさん学んで、自分の中のへん見をなくそう。」
テルちゃんの本に会えてよかった。今本当にそう思う。
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