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受賞作品 感想文部門
「命のことを考えさせてくれた一さつ」
高田 遥花さん
国立鳥取大学附属小学校3年
『ぼくんちのねこのはなし』(くもん出版)
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ねこがすきなわたしは、ふっくらしたかわいいねこの表紙を見て思わず手に取り、この本を読んでみることにしました。きっとかわいくて楽しいお話だと思っていたけれど、表紙を開いて前書きを読んだしゅん間、ドキリとしました。これは楽しいお話じゃないとすぐに気づいたからです。
わが家にも生後10カ月になるオスの白ねこがいます。保ごねこでとつぜん飼うことになりましたが、家族がふえてうれしくてたまらず、きょうだいのようになかよく走り回って、ねる時もいっしょで毎日の楽しみがふえました。この本に出てくることらは、もう16才で人間でいうと80才くらいのおじいちゃんです。だから、走り回ることもできないし、びょう気になってしまって9キロあった体重も半分ぐらいになり、食よくもなくてずっとねたきりです。わたしは、びょう気で亡くなったおばあちゃんのことを思い出しました。よく食べて、お酒ものんで元気だったおばあちゃんがすごくやせてしまい、ずっとベッドで横になっていて心配になりました。ことらも同じだったのでこの本のページをめくっていく度にことらの命が少なくなっていくような予感がして、読むのがつらくなっていきました。
ことらのびょう気が早くなおって元気になってほしいと思ったけど、動物の場合は保けんもきかないのでお金もすごくかかります。わたしのねこも生後3カ月で手じゅつをしなくてはならなくなり、お金がたくさんかかったとお母さんが言っていました。でも、ことらは年を取っているので治りょうや手じゅつをがんばれるか分かりません。家族とはなれて辛い治りょうを受けるよりは、家に連れて帰ってそばにいて話しかけたり、なでたり、いっしょにねたりしてあげた方がいいと思いました。おばあちゃんも入院中、家に少し帰れただけでうれしそうだったからです。
命の問題は本当にむずかしくて正解がないし、家族で話し合って答えを出したとしてもずっとなやみ続けると思います。おばあちゃんが亡くなった後も「もっとしてあげられることがなかったかな。まだ生きていてほしかったね」とお母さんとよく話しています。
「生まれてきたらいつかは死ぬ」という一文を読んで、死ぬのはとてもこわくて想ぞうしただけでなみだが出てねむれなくなりました。わたしのねこともおわかれする日が来ると思いたくないけれど、元気なうちにたくさん遊んだり、なでたりだっこしたり、できることをいっぱいしてあげたいと思いました。
この本を読み終えて感じたことは、命はお金を出せば必ずすくえるものでもなく、あいじょうを注いだり、大事な動物や家族の気持ちを考えたりしてあげることも命を大切にすることだと思いました。わたしの大すきなおばあちゃんとことらが天国で出合って、なかよく楽しく笑顔でいてくれますように。
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