読書絵てがみ・感想文コンクール
 

受賞作品 感想文部門


  優秀賞 鳥取県議会議長賞
鳥取市立湖東中学校1年
赤川 真美

「脳を育て、夢をかなえる」を読んで
(「脳を育て、夢をかなえる」=くもん出版)


 『脳を育て、夢をかなえる』。まず、この題名にひかれた。特に「夢をかなえる」の部分にだ。欲ばりな私には夢がたくさんある。その中でも、どうしてもかなえたい夢、それは小説家になるということだ。ページをめくる手が止まらなくなるほど、わくわくする冒険ファンタジー。読んだ後になんとなく心が暖かくなってくるような物語。大人にも子供にも、夢や希望、そして安らぎを与えられるような、そんな小説を書けるようになりたい。そう、その夢をかなえるために私は一生懸命がんばっている。夢に少しずつでも近づいていくために、今の私にできることは本を読むこと、そしてひたすら勉強することと信じて、日々を送っている。

 そこで目にした、『脳を育て、夢をかなえる』。「脳を育てる」ということはどういうことなのだろう。記憶力を良くするための方法、それとも勉強方法だろうか。脳の中の脳「前頭前野」とは何か。夢をかなえるための近道があるのなら、教えてほしい。はやる気持ちを抑えながら、本を読み始めた。

 まず、一番はじめに驚いたこと。それは筆者の夢。永久に死なない≠ニいうとんでもない夢だ。そしてその夢をもった理由が人間はなぜ地球上に生まれてきたのか≠ニいう疑問を解決したいから、などという私には考えもつかないものだったからだ。体が滅んでも心が存在すれば永久に死なない≠ニいう考え。そしてその心は脳の中にあり、その正体を見つけるために脳を研究しているという。そして筆者がその夢をもったのが、私と同じ中学生の時だったということにも少なからずショックを受けた。

 次に脳のさまざまな働きについて学んだ。脳と言えば、右脳、左脳程度の名前しか知らなかったが、実際は十の部分に大きく分かれていて、場所ごとに違った働きをしていた。感覚野、聴覚野、視覚野、運動野など、なんとなくわかるものもあったが、残りの六つは初めて目にするものばかりだ。物の場所や位置を覚え記憶する頭頂連合野。物の形や名前を記憶する下側頭回。言葉の意味を記憶する角回。その言葉を理解するウェルニッケ野。そして人間だけに与えられた大きな前頭前野。前頭前野の働きは私の想像していたものと全く違っていた。いろいろな知識を吸収して保存しておく場所だと思っていたのだ。夢をかなえるためには、まず勉強して知識をふやすことが何より大切だと思っていたのだから、当然だ。けれど、前頭前野の本当の働きは他にあった。それをどう表現したらいいのだろう。まず言葉を使う、しゃべれるということ。そして考えて物を作りだすことができる。笑ったり泣いたりもするし、それをがまんしたりもする。そして、夢を持つことができ、その夢をかなえるためにがんばろうと思うことができる。人間として当たり前と思っていたことなのに、これらが全部前頭前野の働きなのだ。人間が人間らしく生きていくための要素がこの前頭前野にびっしりとつまっているように感じた。

 さあ、私にできることはなんだろう。学校で習ったことや、本で得た知識は、脳のひき出しにしっかりしまっておいて、それらをどう活かしていくか、何をすれば夢に近づくことができるのか、前頭前野と相談してみよう。脳を、前頭前野をしっかりときたえて、夢を実現させるのだ。読み、書き、計算。そして大切な人達との会話、ふれあい。全て小さい時から接してきた。生まれた時から両親に、友達に、先生方に、与えられてきたものだ。これからは自分から求めていこう。

 私は人間に生まれた。数えきれないほどの偶然が重なって、幸運にも大きな前頭前野をもつ人間に生まれることができた。だから夢をもつことができる。自分の脳を自分できたえて夢をかなえていくことができる。

 あきらめない限り夢はそこにある。しっかりと脳を育て、一歩一歩夢へ向かって前進していきたい。


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