読書絵てがみ・感想文コンクール
 

受賞作品 感想文部門


  入選
八東町立八東小学校4年
青木 瑶子

ムー、私といっしょに旅立とう
(「こねこムーのおくりもの」=ポプラ社)


 最初に、『こねこムーのおくりもの』の表紙を見た時、どんなすてきなおくりものがとび出してくるのだろうと、わくわくしました。こねこムーが、サンタクロースみたいに、子ども達にぬいぐるみや星のクッションをプレゼントするお話かな、と思いました。けれども、読み進めていくうちに、私が想ぞうしていたおくりものとはちがうことに気がつきました。

 町はずれの小さな公園で、こねこのムーは病気のお母さんをなくして、一人ぼっちになってしまいます。そんなムーを、黒い木馬が毎日はげまし、勇気づけたのです。黒い木馬との出合いがあったから、ムーはお母さんをなくしても、のら犬にかみつかれて血を流しても、一生けん命生きぬこうとしたのだと思います。やがて黒い木馬がいなくなってしまった時、ムーは自分をくらの中でねかせてくれた黒い木馬をさがす旅にまよわず出かけたのです。

 そんなムーが行く先ざきで出会ったのは、重い病気のえっちゃんや、じまんのしっぽが切れてなくなってしまったこねこのナナちゃん、体が弱いけれどマラソン大会でびりから二番目になりたいちひろちゃん達です。みんながムーと出会う中で、心が温かくなったり、生きる勇気がわいてきたりしました。ムーのおくりものは目には見えないけれど、みんなの心に残るおくりものでした。私は、スーザン・バーレイ作『わすれられないおくりもの』のお話ににているな、と感じました。形には残らないけれど心に残るおくりものは、ずっしりとした手ごたえはないかわりに、いつでもどこでもはなれることはなくずっといっしょです。

 私は、お父さんやお母さんにきびしくしかられると、自分のしたことも忘れて、私のことがきらいなんだな、いない方がいいんだな、と思ってしまいます。そんな時お母さんは、私がどんなに悪いことをしても大好きで、私がしたことによって好きになったりきらいになったりしない、いてくれるだけでみんなを幸せにしてくれるのだと話してくれます。それを聞くと、私もムーみたいになれそうだな、と思いました。お母さんはいるだけでいいと言ってくれるけど、やっぱり今のままの自分より、ムーのように前向きに進んでいけたり、人の心のやさしさが分かったりする方が、もっとすてきなおくりものができると思います。

 これからの私には、たくさんの人との出会いが待っています。そのひとつひとつの出会いを大切にして、これから出会う人達と心のおくりものを交かんしていきたいです。

 ムーが感じたように、一人ひとりの中にある海のような強い力が、私の中にもきっとあると信じて、高学年へ向かって新たな一歩をふみ出したいと思っています。私の心の中のムーといっしょに…。


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