読書絵てがみ・感想文コンクール
 

受賞作品 感想文部門


  入選
米子市立箕蚊屋小学校5年
谷本淳一郎

なるほど、蛾っておもしろい
(「蛾ってゆかいな昆虫だ!」=くもん出版)


 夏の夜、外でかい中電灯を付けると、必ずといっていいほど蛾が寄ってくる。その蛾をぼくは追い払う。つかまえようなんて思ったことは一度もない。蛾には変な粉が体中に付いていて、あまりいいイメージがないからだ。いくら虫好きのぼくでも蛾はさけてしまう。

 雄治さんはそんなぼくのイメージをくつがえしてくれた。蛾のりん粉で被害にあった人はごくわずかということは、ぼくの考えの逆だった。ぼくは本を読み進めながら、蛾にも少しだけ興味が湧いてきた。特に、ぼくが知る蛾の数は少ないが、蛾にはいろいろな種類があること。歯を持つ蛾がいるなんて想像もつかなかった。まさかモスラのように歯があるとは、ぜひ一度見てみたい。鳴き声を出す蛾がいることを知って、ぼくはさらに驚いた。シャクトリムシ競争だってしてみたい。いろいろな時期に飛ぶ蛾がいることも初めて知った。夏前後の虫だと思っていた。蛾は実に個性豊かな昆虫だと感心するばかりのぼくだった。

 でもやっぱり蛾のことが好きな雄治さんの言動が、ぼくにはなかなか理解できなかった。なぜたくさんいる昆虫の中で蛾を選んだの、蛾のどこに魅力を感じたのと、不思議でならなかった。よりによって蛾だなんて。

 しかし、蛾を採集しながらいろいろな人に出会った雄治さんは、とても楽しそうだった。蛾を夢中になって採集する雄治さんは、まるで子どものようで親しみを持った。雄治さんは心から蛾のことが好きなんだなと思った。蛾に対する情熱と熱心さには頭が下がる。それにダーウィンや雄治さんのように蛾に夢中になる人達がいなければ、ぼくや蛾が嫌いな人にとって、蛾はもっとつまらない昆虫だったのかもしれない。そう思うと、雄治さんの行動はすごく価値のあることだと思えてくる。

 逆に、今まで雄治さんは何匹の蛾をとったの、どんな種類のものをとったのと、ぼくはもっともっと蛾のこと、雄治さんのことが知りたくなった。雄治さんの熱心さは少しずつぼくの蛾に対する考えを変え、蛾のことをいろいろ思い浮かべている間に、ぼくはいつの間にか蛾のことが少し好きになっていたようだ。

 蚕は蛾の幼虫で、まゆで糸を作るのは知っていたけど、いろいろな色のまゆがあること、絹が食べられることを知り、ぼくは驚いた。様々な分野で活躍する蚕のことを考えただけで、嫌われ者に近い蛾は、すごい働きをしてくれている。ぼくは絹糸で織った布を改めて見てみた。まず感じたのは、なんとつややかで真っ白に光り、肌触りはというとなんとさらさらツルツルしているのだということ。蚕からこんなにも美しい布ができるなんて、ぼくを始め、みんなもっと蛾を愛すべきだと思った。

 これからも、ぼくは蛾に出合うだろう。その時蛾を捕まえようとはまだ思わないが、元々虫好きのぼくは今、蛾の羽の模様を見たり、飛ぶ姿を楽しんだりしてみようと思う。そして蛾を見る度に、蛾のおもしろさを教えてくれた雄治さんのことを思い浮かべるに違いない。


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