代表理事組合長
小前 孝夫氏
安定供給維持を徹底
−酪農の情勢は。国の指導の下、消費のニーズに応えるために全国的に生乳の増産計画が立てられ、生産基盤の強化に取り組んできました。しかし、新型コロナの影響でインバウンドが減少し消費が低迷、生産が余剰気味になっています。さらに、穀物輸出大国のロシアとウクライナからの輸出がストップ。以前は収入の50%が飼料代でしたが今は75〜80%。酪農家は飼料代に加え、電気代、修繕費、建物や家畜の共済費の支出もあり、厳しい経営状況に陥っています。生乳生産現場が弱体化しないよう、国や県、市町に支援をいただくことで持続的な経営継続が行えています。
−新たな取り組みは。
生産面では、国内産の資源の有効活用や面積拡大へ種子代の補助、飼料稲を新たに使う場合の輸送費など自給率を高める取り組みの助成を始めます。メーカーと連携して豆乳の搾りかすを使ったエコフィード(食品廃棄物などを利用した飼料)の実用化にめどが立ちました。製造面では、宅配牛乳は減っていますが、大山乳業の柱の一つであり、機械設備の更新をしながら、継続的な販売強化を図ります。
−SDGs、IT化も積極的ですね。
7年前の組合創立70周年時に「白バラ認証制度」を設けました。生産現場を守り、安心安全なおいしい牛乳を生産する環境の維持・強化が目的です。牛が快適に過ごせれば、生乳の増産・質の向上につながります。多岐にわたる項目を点数化して審査し、より高いレベルを目指しています。生産農家がスマホで子牛の誕生、移動などの届け出を管理できる「カウネット」を運用し、労力軽減にもつながっています。月に一度、組合から生産者に向けて、酪農情勢なども動画配信しています。
−地域に愛される「白バラ」ブランドです。
地元企業や学生とのコラボなど県中部、県全体を通しての取り組みを発信します。牛乳パックの広報欄も地域の情報発信に活用してほしい。また、認知度向上のため企画したグッズを含め、「白バラ牛乳」が消費者の生活を豊かにすることになればうれしい。生産者が丹精込めた生乳を品質を落とすことなく、安定して消費者に届けるのが使命。酪農家の安定した営農と生活が守れるよう、組合を発展させていきます。