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代表取締役社長

島 秀佳氏

本との関わり方提案

 −業界の現状は。

 コロナによる巣ごもり需要が落ち着いたここ1、2年、書店・出版業界全体の収益が減っています。出版物流も厳しさを増しており、雑誌などの流通量の減少や輸送費の高騰、配送の人手不足は長年の業界全体の問題です。一方で大手出版社と総合商社が会社を設立し、AIなどを使って適正な出版の流通を図る新たな動きもあります。

 −事業を通して地域とどう関わっていきますか。

 地域の書店としてあり続けることが第一です。お客さまが手に取って本を買うことができる場所をなくしてはいけません。

 また地域の活字文化を担い続けたいと思います。個人の出版について私たちが提案しているのは、それぞれが歩んできた人生や生き方を大切な人に伝える意味で、1冊の本にまとめることは大事だということ。本として残せば目につきやすく、手に取りやすく、その本をきっかけに新たな会話が生まれるかもしれません。そういう場の提供を通して地域の文化を守り、地域に貢献したいと思います。

 −デジタル化に対する考えは。

 書店の運営面では人員の採用も難しくなっているので、デジタル化による作業の効率化を進めることになります。

 また出版分野では、県内で電子図書館が整備され始め、地域のコンテンツの電子化が求められる中、今井印刷では本と電子書籍の両方を発刊しています。

 オンデマンド出版にも対応しています。在庫を持つことで生じる作業や倉庫などのコストを抑えるためにも、オンデマンド出版は避けて通れません。今後もさまざまな変化に対応していきます。

 −グループ全体の今後の展望は。

 業界が厳しくなっても地域の書店であり続ける一方で、その役割は変わってきています。本の販売以外で、例えば地域の人に本を書く喜びを広める「本活」など、本との関わり方を伝えていくのも役割だと考えています。書店・出版事業、雑貨・カフェ経営、保育園運営など業務形態は多様化していますが、書店から足が遠のいている人や今まで書店に来ることがなかった人にも来てもらうために、時代の変化に応じて本を売るだけではない書店の魅力を考えていきたいと思います。
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