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理事長

笠見 和則氏

「地賛地商」の精神で

 −設立111年目の総代会で三つの柱を掲げました。

 私たちは他の金融機関との合併を一度も行わず、鳥取県中部を地盤に独立独歩で110年間にわたって地域の皆さまのお世話になってきました。これは「くらしんの存在意義」だと捉えています。しかし、中部の現状は少子高齢化や若者の流出など、人口減に歯止めがかかりません。私たちの存在意義である中部での活動を持続可能なものとすることこそが最も重要なことと捉え、111年目となる今年6月の総代会で「質の向上」「地域密着の徹底」「身の丈金融」を掲げました。

 −アフターコロナ時代、中部経済はどうなりますか。

 コロナ禍で導入された実質無利子・無担保の通称「ゼロゼロ融資」返済が始まっています。順調に返済できれば問題ありませんが、そうはできない事業所も。そういった中小零細企業をいかに支えていくかだと考えています。一方、中部では山陰道北条道路や県立美術館など、複数の大型公共工事が同時並行で進んでおり、経済の流れは前に進んでいる印象です。

 −DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用し、窓口業務見直しを進めています。

 振り込みやローン契約などが全てスマートフォンで完結できる時代となり、紙の通帳を求められることも少なくなっています。何より、お客さまが午後3時までに来店しなければいけないという状況を解消できました。また、DXを導入する企業にとっても、業務の効率化を図れるという大きなメリットがあります。冒頭でも触れましたが、私たちの地盤である県中部は人口が減り、人材確保が難しくなっています。組織としての持続可能性が求められる今、あらゆる事業所にとってDXの推進は避けて通れない、過渡期を迎えていると言えるでしょう。

 −金融機関として、地域とどう関わっていきますか。

 地域貢献の一語に尽きます。「地域の金融機関」を掲げる私たちにとって、地域との関わりの希薄化は存在意義を否定することに他なりません。地域のために、地域の皆さまと一緒になって一生懸命汗をかく−。この姿勢は今後も変わることはありません。地元のものを地元で消費する「地賛地商」の精神を紡ぎながら、これからも地域とともに歩み続けていきます。
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