代表取締役社長
福元 隆司氏
地域屈指の成長企業
−アジア太平洋地域の急成長企業ランキング2023で総合304位に入りました。あらゆる業界の中でのランクインでとても光栄に感じています。コロナ休業期間中はサービスの向上を狙い、ワインスクールやペアリング講座、和食文化講座などの従業員教育訓練を実施。従業員間の結束力も強くなりました。また、適切な販売価格を分析するソフトも導入して売り上げを最大化しました。結果、2018年比で22年決算は2・7倍の増収となり、コロナ禍で多くの企業が売り上げ減になっている中、大きく伸ばすことができました。
−皆生松月に続いて皆生游月を建てた意図は。
正直、危険を冒す必要はありませんでした。ただ、約25年前に新築した松月で、客室の向きなど、もう少し立地を生かした設備投資ができたのではないかと悔いがあり、「次に建てるならこうしたい」と、常に考えていました。隣接する旅館が廃業すると聞き「これはチャンス」と、一週間で計画書を作りました。隣接地なので、両旅館間のスタッフの移動や基幹インフラの共通使用など大きなメリットを実感しています。
−19年完成の游月の特徴。
コンセプトは「不況が来ても大丈夫な旅館」。簡単に模倣しにくい「希少性」▽どんな時代が来ても適応できる「適応力」▽記念日旅行など「絶対に無くならないターゲット」−の3点が基本です。希少性では、例えば5人のソムリエが在籍して料理と飲み物のペアリングを行い、適応力では食事の提供スタイルを全室和洋室タイプのためお部屋食でもレストランでも、時代に合わせて対応ができます。退職や成人式など人生の節目を祝う記念日旅行はリピート性があり、リピーター比率も業界水準よりも高くなっています。設備では全室ベッドと畳のある海一望の露天風呂付。レストランで波打ち際の景色を楽しみながら食事ができます。インフィニティ露天風呂も人気です。
−旅館業に対する思いは。
「ここ25年間で旅館を2つ新築した旅館経営者はいない」と、言われたりしますが、旅館は適切にしっかり経営すれば利益を十分生み出せる商売だと考えています。松月は1927年に創業し、私で4代目。白砂青松の温泉地で、100年に向けて引き継いでいきたい。