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受賞作品 感想文部門


  入選
「魔法がくれた時間」を読んで

宮坂 秀斗君
鳥取市立浜坂小学校6年


「魔法がくれた時間」(金の星社)


 ぼくは、この本を読み進んでいくたびに、大きなしょうげきを受けていきました。それはぼくが、この本の主人公ファニーと似ている所がたくさんあるからです。大好きなおじいちゃんがもし病気になったら、不安ではないでしょうか。ファニーは、すごく不安でした。ぼくも実は、この夏おじいさんが入院することになりました。その時のおじいさんは、いつもの元気が全くなく、病院の中でまるでサナギの様でした。それを見ると、悲しくなってきて、学校の時も、サッカーをしている時も、おじいさんの事を考えていました。すると、もしも死んでしまったら、などと考えてしまい、だんだん目に涙があふれてきました。そんな事は、サッカーができなくなったり、ゲームができなくなる事より比べられないぐらい悲しいです。ファニーが魔法の薬をもらい、おじいちゃんに飲ませた場面は、ぼくと同じ様なそういう気持ちからだったのではないでしょうか。

 ぼくのおじいさんは、入院している時でさえ、ぼくや妹の心配をしてくれていました。昔、ぼくが風ぜをひいた時、わざわざ家にいちごを買って届けてくれた事もありました。ぼくは、おじいさんに色々な所でお世話になっている事を思い出しました。それなのに、ぼくは何もしてあげられていません。そこで、休みの日には必ずおじいさんに会いに行こうと、きめました。それは、ファニーが魔法の薬を「毎日一ぱいずつ飲んでね。」とおじいちゃんに言った場面のように、自分にできる事を何かしてあげたいと考えたからです。

 でも、病院にいると日に日に元気が無くなっているように見えるおじいさんを、どうしたら早く治るんだ、どうしたら元気が出るんだと考えました。そして、学校の事や家族の事をたくさん話す事にしました。

 待ちにまった退院の日がやってきました。おじいさんは、まるでサナギだったのがあざやかなチョウになったように、元気が出ていて、色々なギャグを言えるまでになりました。ぼくには、いつものおじいさんに戻ったように思えたので、おどろきと共にうれしさを感じました。しかし、ファニーはそんな気持ちを味わう事ができませんでした。ファニーのおじいちゃんは、死んでしまったからです。本の中での言葉が胸にひびきます。「いつまでも死ぬ事のないものはいない。」きっと、ファニーの言う「魔法がくれた時間」というのは、おじいちゃんといれた時間だったのではないでしょうか。二人で散歩に出かけた時の楽しそうな場面を思い出します。

 退院後の今、ぼくはあまりおじいさんに無理をさせないようにしようと考えています。そして、今おじいさんといる時を大切にしていきたいです。ぼくもおじいさんと散歩に出かけます。二人でゆっくりと笑いながら歩きます。これがぼくの魔法がくれた時間です。





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主   催 鳥取県学校図書館協議会、新日本海新聞社
特別協賛 鳥取支社
協   賛 鳥取県教科図書販売株式会社、鳥取県書店商業組合、鳥取県教育文化振興会、あすなろ書房、金の星社、くもん出版、汐文社、農山漁村文化協会、ポプラ社、光村教育図書

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