− 有力校 話題校−
「第32回日本海駅伝競走大会」(鳥取陸上競技協会、新日本海新聞社主催)と「南部忠平杯第27回くらよし女子駅伝競走大会」(倉吉市、鳥取陸上競技協会、新日本海新聞社主催)は30日、倉吉市営陸上競技場を発着点に開かれる。全国高校駅伝の男子で8回の最多優勝を誇る西脇工(兵庫)、都大路の“常連”ながら「くらよし」初登場の神村学園(鹿児島)など有力校、話題校が数多く出場する。今年はどのようなレースが展開され、どのようなドラマが生まれるのか、注目のチームを紹介する。
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レベルを確認したい
神村学園高・女子(鹿児島)
2012/09/29
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全国初優勝を目指して練習にも熱が入る神村学園=日置市の伊集院総合運動公園陸上競技場 |
有川哲蔵監督が就任した1991年、練習帰りのマイクロバスがトラックに追突され、全員がむち打ち症となった。1年間の苦しい練習に耐え、さあ本番という矢先。出場できない県大会を観戦後、部員らは大粒の涙を流して大声で泣いた。
「負け試合以上の悔しさを味わった。惨めな思いが、つらい練習にも耐えられる強い心を生んだ」(有川監督)。1年目での挫折が成長の原動力になり、翌92年には都大路に初出場。部訓の「克己」を実現させた。
練習はしっつこいほど徹底させるのが有川流。フォームから手の振り、ステップと一つ一つの動きを磨き、体重管理も徹底する。外部コーチも「ここまでやるのは珍しい」と感心するほど。チーム神村の強さの一端だ。
くらよし女子駅伝は今回が初出場。有川監督は「コースも分からないが、豊川や興譲館など、力のある高校と一戦を交え、経験値をアップさせる格好の機会」ととらえる。
チームをけん引するのは西山、中原の3年生2人。「くらよし」では北信越総体3000メートル13位の西山がアンカー、西山より2秒持ちタイムがいい中原が1区を務める。
2区永吉は2年生で、3区野添は1年生。有川監督は「大事な区間でどんな走りができるか。2人が勝利のカギを握る」と期待する。
「3年生は誰もがリーダー役を務めるように」と今年は週替わりの主将制を敷く。「くらよし」では西山が主将。西山は「日本一を目指し、力を出し切って自分たちのレベルを確認したい」。強豪校との競り合いをステップに、悲願の都大路初優勝を目指す。
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【プロフィル】1990年創設の中高一貫校。女子駅伝部は全国大会に19回出場し、2001年に3位、02年に準優勝した。硬式野球部は05年に甲子園で準優勝、サッカー部も06年の全国高校選手権で3位に入っている。 |
1年前の雪辱果たす
大阪薫英女学院高(大阪)
2012/09/27
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張り詰めた空気の中、早朝から黙々とジョギングを繰り返す大阪薫英女学院高の選手たち=摂津市の同高グラウンド |
初出場から6年連続で挑んだ昨年の都大路は、史上最高順位、タイムをマークしたものの入賞を逃す9位。メンバーは悔し涙を流したが、安田功監督は「入賞を目標にしていては入賞できないということが分かった。あくまでも通過点。最終的には優勝を狙っている」。前回を上回る精鋭をそろえ、7度目の都大路を目指す。
前回の悔しさを経験した主軸3人の力が拮抗(きっこう)。中学時代から実績のある1年生もメンバー争いに加わり、競争は激しさを極める。
全国で過去2年連続で1区を務めたエース大森は、3000メートルが9分16秒。くらよし女子駅伝の出場選手の中ではトップと5秒差、5位タイの好タイムだ。
松本、松田の2年生2人の成長も著しい。特に昨年の都大路で3区2位と健闘した松本は、9月に3000メートルの自己ベストを11秒更新するなど勢いがある。
練習メニューは至ってシンプル。「ごく普通の練習しかしていない。基本を集中してしっかり走るのがうちのポイント」と安田監督は話す。朝練では午前7時から1周200メートル余りの校庭で5〜7キロのジョグを黙々とこなす。場所を変えて行う放課後もひたすら同じメニューを繰り返す。その反復が近年、実を結んでいると言えそうだ。
12月の全国舞台に向け、テストの意味もある今大会。主将の大森は「全国大会に近い強豪校がそろう。それぞれの区間でどれだけ勝負できるか、これからどれだけ力をつけないといけないかを判断したい」。1年前の雪辱を果たすべく、意識は確実に高まっている。
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【プロフィル】大阪府摂津市にある私立校。1931年に薫英女子学院として創立され、97年に現校名に改称された。普通科と国際科があり、ニュージーランド、カナダに姉妹提携校を設けるなど国際舞台で活躍できる人材育成を目指している。バスケットボール部も全国レベル。 |