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最優秀作品紹介
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 「流されない 私は読んで 考える」を代表標語にした第77回新聞週間が15日から始まる。新聞週間にちなみ「第10回日本海新聞・児童生徒新聞感想文コンクール」(新日本海新聞社、日本海新聞販売店会主催、鳥取県教育委員会後援)の最優秀賞受賞作品を紹介する。

 コンクールは、次代を担う児童生徒が新聞に親しみ、読んだ記事の感想文を書くことで読解力や表現力、社会への関心を高めてもらうのが狙いで毎年実施している。今回は、県内外の個人と学校17校から、小学生の部35点▽中学生の部137点▽高校生の部356点−の計528点の応募があった。

 対象記事は、身近に起きた事象を報じた内容で多岐にわたっていたが、近年多発する自然災害や地震に対する防災意識の高まり、パリ五輪や東京都知事選といった社会の動きを読み取った内容が多かった。また、ウクライナ侵攻や世界紛争の問題にも関心を示していた。

※作品は一部用語の新聞表記への変更を除いて原文のまま。

  最優秀賞作品紹介
小学生の部 山田 風花さん(城北小4年)
4月20日付日本海新聞 「猫モチーフ かわいく 鳥取で木工作家二人展」を読んで
 「わっ、かわいい」新聞を開いたとき、おもわず大きな、声が出てしまいました。私はねこが大好きで、大きくなったら、ねこカフェの店長になりたいと思っています。「ねこ」と聞いて、ワクワクしてこの記事を読み始めました。

 記事には、ねこ好きの木工家さんがねこをモチーフにした時計やスマホスタンドなどのてんじをしているというものでした。

 ねこの顔だけではなく手のパーツなどを使った、お弁当箱もあり、細かく観察しているので、いっぱいねこをあいしているところが私といっしょだとうれしくなりました。

 中でも私が一番に気になったのは「ねこガチャ」です。ガチャは大人の身長と同じくらいの大きなもので、ねこ耳がついていて、見た目もすごくかわいいです。私もものづくりが好きなので、自分ならオリジナルのキャラクターを作り、フェルトや毛糸を使ったキーホルダーやワッペンをガチャの中に入れたいと思いました。中にレアなガチャを入れて、当たりくじにしてもおもしろそうです。

 この話をお母さんにしたら「お母さんなら例えばかい主のイヤリングとねこのくびわのかざりがおそろいにできるようなものが入っているとうれしい」といっていて、いろいろな意見があるのだと感じました。

 木で作品を作ることもすてきです。しょう来のお店に木せいのねこ耳がついたいすやあそび場を自分で作って、大人も子どもも、ねこ好きな人が楽しい時間をすごせる場所を考えると、たくさんのアイデアがうかびます。

 予定が合わず会場には行けなかったのですが、次のチャンスがあればぜったい本物を見てさわって、木の香りを感じたいです。

 ふだん新聞は天気を見るくらいでしたが、小学4年生でも楽しめる記事がのっていることがわかったので、どこかにおもしろいことがのっていないか、まいにち新聞をひらいてみようと思いました。

《受賞コメント》
 受賞のことをお母さんから聞いたときは、とてもうれしかったです。おばあちゃんにも教えたらすごく喜んでくれました。新聞では天気予報をよく見ますが、この記事はお母さんに教えてもらって知りました。作文もネコも好きなので、記事を読んで感想文を書くのは楽しかったです。


中学生の部 寺岡 優希さん(鳥大付属中1年)
2月28日付日本海新聞 「通学利用「ありがとう」 路線バス車内 卒業祝うメッセージ」を読んで
 小学校の卒業が間近だったぼくにとって印象に残る記事だった。

 四月からバス通学をすることを決めたけれど不安に感じていることもたくさんあった。

 バスを日常的に利用したことがなかったぼくにとって、バスは本数が少ない、時間に正確でない、揺れるなど悪い印象が多く、他の交通手段があるならそれを選びたいと思っていた。この記事はそんなぼくの不安な気持ちを少し前向きに変えてくれた。

 実際に通学でバスを利用するようになって、気付いたことがたくさんある。

 まず、バスを降りる時に必ず「ありがとう」と言って降りる学生がいることだ。運転手と利用者の距離が近いためか車内では「ありがとう」という言葉を聞く機会が多い。ぼくもいつの間にか「ありがとうございました」と言ってバスを降りるのが習慣になっている。

 そして、運転手は安全運行に気を付けながらも車内をよく見てくれている。

「揺れるのでご注意下さい」「座れる人は座って下さい」など利用者を気遣うアナウンスがあったり、学生が高齢者に席をゆずった時は「席をおゆずり頂き、ありがとうございます」とアナウンスが聞こえた。これには驚いた。

 もちろんよい話ばかりではない。学生の態度が悪く車内で注意されることもある。学校発着のバスであっても一般の人も利用していることを忘れてはいけない。

 最近、運転手不足で路線バスの廃止や減便が相次いでいるというニュースを聞いた。国の対策として「運賃支払いの完全キャッシュレス化」が進められているそうだ。完全キャッシュレス化により、支払額の確認や両替など現金への対応がなくなり、運転手が運転業務に専念できるといった効果が期待できるそうだ。

 けれどもすべてのバスにこのシステムが導入されると、電子決済を使っていない利用者など困る人も出てくると思う。鳥取では運転免許を持たない人や運転免許を返納した高齢者もバスを利用している。普段は定期券や回数券を使用している学生も現金でバスを利用することもある。完全キャッシュレス化されるとバスが気軽に利用できなくなってしまう。

 このような問題を自分のこととして考えるようになったのもバス通学を始めてからだ。

 ぼくたちの学生生活は学校以外でも多くの人と関わり、支えてもらっていることをバス通学を通して改めて実感している。感謝の気持ちを忘れず、今のこの経験を大事にしていきたい。

《受賞コメント》
 バス通学を始めてから、バスの運転手不足などの問題にも関心を持つようになりました。最初にバスに興味を持つきっかけになったのがこの記事だったので、記事を読んだときに思ったこと、実際にバスを利用して見たことや気づいたことを書きました。朝早くから夕方暗くなる時間まで通学を支えてくれている運転手の方に感謝しています。


高校生の部 河野 向日葵さん(湯梨浜学園高2年)
4月2日付日本海新聞 「ジェンダーレス制服導入」を読んで
 「ジェンダーレス制服の導入」とはどういうことだろうか。

 私の学校の制服は、男子生徒はスラックスとネクタイ、女子生徒はスカートとリボンが基本スタイルだ。また、約二年前から多様性への対応として、女子生徒のスラックス、ネクタイが導入された。その結果、これまで通り、スカート、リボンを選ぶ人もいれば、スラックス、ネクタイを選ぶ人もいる。さらに最近では、スラックス、ネクタイを着用している他校の女子生徒も見かける。この田舎町でも、「女子生徒はスカートを着用する」というステレオタイプが崩れつつあると感じる。

 しかし、男子生徒はどうだろうか。私が知る限り、男子生徒がスカート、リボンを選べる学校は身近に存在しない。では、男子生徒はスカート、リボンを着用してはいけないのだろうか。女子生徒が制服を自由に選べる一方、男子生徒がスカート、リボンを着用できないことに対する違和感を抱く。「多様性に配慮した制服」とは何なのか、「女子生徒のみが制服を選べる=多様性への配慮」となるのかという疑問が頭から離れない。そんな私は、この記事を手に取った。

 記事によると、倉吉市内の全中学校の制服をジェンダーレスデザインに統一するらしい。多様性に配慮するため、性別に関係なく、スラックスまたはスカートを選択できる方向で検討するようだ。つまり「男子生徒でもスカートを着用できる」ということだ。

 私はこのジェンダーレス制服の導入に大いに賛成である。男子生徒はスラックス、女子生徒はスカートという固定概念にとらわれることなく、性別にかかわらず、全ての生徒が自由に制服を選択できることが本来の「多様性への配慮」であると考える。

 しかし、ここで新たな疑問が生まれる。そもそも「多様性への配慮」とは何なのか。なぜ必要なのだろうか。「多様性への配慮」を「意識」しなければならない事実は、「多様性を受け入れ難い」現実を物語っているのではないだろうか。

 確かに、「性別に関わらず自由に選ぶことができる」ジェンダーレス制服の導入は、多様性への配慮という視点で大きな前進となる。しかし、それで終わりではない。「多様性」に「配慮」する必要がない世の中がくること、皆が当たり前に多様性を認める世の中がくることこそが理想である。そのような世の中がくれば、「ジェンダーレス制服」という概念さえ意識されなくなるだろう。

 偏見という制服を私たちに着せない世の中をいち早く望む。

《受賞コメント》
 ジェンダー制服とはいえど、女子は選べる、男子は選べない、本当に多様性といえるのかという疑問を抱えていました。応募するなら、新聞に掲載されて多くの皆さんに読んでいただきたいという思いで書きました。自分の思いのまま、熱量のまま言葉を選び、一文字にこだわった文章を書くことを追求し、やり切った感はありました。客観的に見て攻めた内容だと思いましたが、このように評価されて大変うれしいです。


  入賞者一覧
小学生の部
【最優秀賞】 山田風花(城北4年)
【優秀賞】 谷口蒼真(福米東5年)
筏津悠(鳥大付4年)
千葉心結(船上5年)
【優良賞】 山田一風(城北4年)
筏津真子(鳥大付6年)
高力羽奈(船上6年)
福田もな(船上6年)
内山永愛(船上4年)
【審査員特別賞】 野間田菜緒(船上6年)
【優秀学校賞】 船上小
中学生の部
【最優秀賞】 寺岡優希(鳥大付1年)
【優秀賞】 松本釉香(香住第一3年)
前田蒼衣(湯梨浜学園3年)
沢田朱里(桜ケ丘2年)
【優良賞】 小西葵佑子(後藤ケ丘1年)
国岡大珠(智頭3年)
加藤妃乃(香住第一3年)
西尾さわ(江山学園7年)
重森七海(江山学園9年)
【審査員特別賞】 中野双葉(香住第一3年)
【優秀学校賞】 香住第一中
高校生の部
【最優秀賞】 河野向日葵(湯梨浜学園2年)
【優秀賞】 有本雅歩(鳥取敬愛2年)
多賀詩乃(鳥取湖陵2年)
水鴨賢(鳥取西2年)
【優良賞】 松本紗英(鳥取西2年)
藤田葵羽(鳥取湖陵3年)
北睦実(鳥取西2年)
遠藤礼都(湯梨浜学園2年)
葉狩真央(鳥取敬愛2年)
【審査員特別賞】 薮中比香里(鳥取西2年)
【優秀学校賞】 鳥取西高

【主催】新日本海新聞社 、日本海新聞販売店会
【後援】鳥取県教育委員会

   
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