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  高校生の部 優秀賞作品紹介
山本 結菜さん(鳥取西高3年)
6月28日付日本海新聞 「自転車ルール順守意識を」を読んで
  自転車利用者で、自分が被害者、または加害者になるリスクについて本気で考えたことのある人は、一体どれくらいいるのだろうか。私は、そう多くはないと思う。なぜなら、本気で考えたことがある人は、大半の人がヘルメットを着用するようになると思うからだ。私の学校でも、ヘルメット着用率は高くないと思う。登校時に先生が交通指導をされていることがあるので比較的朝の着用率は高いと思うのだが、下校する時に着用している人はあまりいないように思われる。登校時であっても、学校が近づいてきて、先生の姿が見られるようになって初めて着用する人もいる。これではまるでヘルメットの意味を成していない。先生から注意されないためのガードだ。本気で自転車事故のリスクについて考えていない証拠である。

 と、客観的に述べたが、私も自転車事故のリスクについて全く考えていない人の一人だった。しかし高2の時、私は事故を起こしてしまった。

 自宅から100メートルほど離れた地点に、信号のない横断歩道がある。住宅街の中にあり普段は交通量が少ないのだが、朝の通勤時間のタイミングは、通る車も多くなる。私はその日、家を出る時間が少し遅れており、少し急いでいた。その横断歩道の交通量はさほど多くはなく、行けるだろうと思い、横断歩道の前で一時停止をせずに渡った。横断歩道の途中で横から投げ飛ばされて、道に倒れた。車とぶつかったのだった。幸い、その時私はヘルメットを付けていたおかげで、頭に大きなけがはなかった。しかし、事情聴取を受けた警察官に「ヘルメットがなかったら大変なことになっていたかもしれないね」と言われた。私はその時初めて、自転車事故のリスクに気づき、ヘルメットの重要性を実感した。自転車事故は、かなり身近に潜んでいるのだ。出発からたった100メートルの地点にも。

 私の視点から見て、ヘルメットを着用しない理由として考えられるのは、「暑いから」「髪が崩れるから」。その気持ちは私もよく分かるのだが、命には代えられないということを知ってほしい。2026年4月からは、スマホを操作しながらの運転や、傘さし運転、一時不停止などの危険運転は取り締まりの対象になるそうだ。それは自分の行い次第なので、違反となることは防げると思う。しかし、急に車が横から突っ込んできたり、赤信号を無視して進んできたりなど、私たちが予期できない出来事から身を守れるのはヘルメットしかない。不慮の事故でも、ヘルメットの着用有無でけがや後遺症のリスク、私たちの未来は大きく変わるはずだ。

 私の自転所とヘルメットには、体の傷の代わりに、たくさんの跡や傷が残っている。私は自転車にまたがる時、自分の事故を思い出す。もし今自分がこぎ出す一歩が、誰かの、自分の命を奪う一歩になったとしたら。改めて自分の乗り方を振り返る意義はあると思う。




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