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最優秀作品紹介
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 「今を知り 過去を学んで 明日を読む」を代表標語にした第76回新聞週間が15日から、始まる。新聞週間にちなみ「第9回日本海新聞・児童生徒新聞感想文コンクール」(新日本海新聞社、日本海新聞を発展させる会主催、鳥取県教育委員会後援)の最優秀賞受賞作品を紹介する。

 コンクールは児童生徒が新聞に親しみ、読んだ記事の感想文を書くことで読解力や表現力、社会への関心を高めてもらうのが狙いで毎年実施している。

 今回は、県内の個人と学校18校から、小学生の部51点▽中学生の部111点▽高校生の部384点−の計546点の応募があった。

 対象記事は、身近に起きた事象を報じた内容で多岐にわたっていたが、新型コロナウイルス禍に関連した内容は減り、近年、多発する自然災害やデジタル社会を反映した人工知能(AI)の進展や技術革新、性的マイノリティーに関する社会の動きなどの内容が多かった。ほかにウクライナ侵攻など、先行きの見えない世界の紛争、核兵器廃絶問題などにも関心を示していた。

 ※作品は一部用語の新聞表記への変更を除いて原文のまま。

  最優秀賞作品紹介
小学生の部・岡本 あおいさん(琴浦町立聖郷小6年)
6月21日の日本海新聞「米子市議会で初の要約筆記対応」を読んで
 私は聴覚に障害のある方のコミュニケーション方法は手話が主なものだと思っていました。しかし、この記事を読んで、聴覚障害者のうち、手話を使いこなせるのは2割程度の方のみということ、難聴者や中途失聴者のコミュニケーションの手段は要約筆記などの文字情報が主だということを初めて知りました。

 2割という数の低さにおどろきましたが、私も今、音を失ったら、すぐには手話を使いこなせません。文字を紙に書いたり、身ぶり手ぶりで伝える方法しか思いつきませんでした。それに、身近な人たちに手話を理解してもらう必要もあります。2割という数字も理解できる気がしました。そして、要約筆記の大切さも分かりました。

 この記事を読んでしばらく後に、手話通訳の方もおられる講演会に参加しました。最後の質問の時、年配の難聴の方が、「古い手話を使いますが、よろしくお願いします」と手話で伝えられ、質問をされていました。どこかに難しい手話があるのかな、と思いましたが、通訳の方はスムーズに対応されていました。

 記事と講演会で見た場面を通して、思ったことがあります。

 情報を知りたくても、その時に必要な援助がないと、知る機会を逃してしまう方たちがおられます。生活をしていく上で、情報は大切です。何もわからない状態は、自分だけ取り残されたようで心細いと思います。難聴の方でも、要約筆記のほうが理解しやすい、手話のほうが理解しやすい、というように、その方たちを支える支援もひとつだけではなく多様なこともわかりました。これから、身近な場面でも、多様な支援がどんどん広がっていくといいな、と思いました。

 すぐに要約筆記や手話は覚えられませんが、少しずつ勉強したいと思います。まずは、困っている方に目を向けたり、そばにいることから始めていきたいです。

《受賞コメント》
 この記事で要約筆記のことを初めて知りました。聴覚障害者の方はみんなが手話を使えると思っていたけれど、約2割しか使えないと知って驚きました。新聞はインターネットでは分からない地域のことが書かれているので、何度も読み返すことができて良いと思います。


中学生の部・ 山本 結羽さん(鳥大付中2年)
6月13日の日本海新聞「手塚治虫AIが新作 ブラック・ジャック今秋公開」を読んで
 「AI」に漫画を描かせる!? 新聞記事の見出しを見て、私はこう思った。

 私は小説派なのであまり漫画は読まないが、手塚治虫さんの漫画は大好きでよく読んでいる。特に好きな漫画は「ブラック・ジャック」だ。手塚治虫さん独特の表現の繊細さ、主人公の医療技術の素晴らしさに感銘を受け、何度も読み返すほど大好きな作品だ。この作品には最終回らしきものはあるが、その話が本当に最終回なのか分からないままになっているので、ずっと続きが気になっていた。本当にAIで手塚漫画を描くことができるのだろうか。

 AIとは、人工知能のことでコンピューターを使って学習・推論・判断など人間の知能の働きを人工的に再現したものである。

 漫画家は、自分の頭の中に浮かんでいる世界を物語にすると思うので、私は「手塚作品をAIが学習したら漫画を描くことも可能なのでは」と考えた。

 実際に2020年に作られた漫画「ぱいどん」は、たくさんある手塚作品をAIに学習させてキャラクターなどを作成したのだが、絵のタッチなどは本物と瓜(うり)二つだった。人間とAIの共作でここまで手塚作品に近づけるとは、と驚いた。このような手法でブラック・ジャックの新作を作れば手塚さんが描いたものと同じくらい面白い作品が出来上がるのかもしれない。

 しかし、同時に少し複雑な気持ちもある。最終回がなく終了し、謎に包まれているということも面白いし、手塚さんが描いた話で終わらせたいと思ってしまうのだ。

 私の複雑な思いと同じようにこのプロジェクトには賛否両論がある。どれだけAIに手塚作品を学習させても完璧には手塚さんの漫画にはならないと思う。「唯一無二」の漫画だからだ。

 しかし、今回のAIはあくまで人間のアシスタントとして使用し、手塚さんの漫画を越えることが目的ではなく、「挑戦」が目的である。実際に、手塚さんも生前、漫画に対する概念を変えることや、漫画を魅力的な作品にするために多くの「挑戦」をしてきた。その挑戦する気持ちが受け継がれているのだ。

 記事の中で手塚さんの息子さんは「本人並みの水準は半分無理だと思っていますが、挑戦するのは何よりも重要なこと」と言っている。AIにどれだけ手塚作品を学習させたとしても本人に匹敵するほどの漫画を描くことはできないけれど、手塚さんも大切にしてきた「挑戦」という気持ちを持つことは何よりも大切だと思う。AIはめざましい進化を遂げているが、名作に匹敵するほどのものを作ることはできない。だが、挑戦することで手塚作品の素晴らしさ、手塚治虫さんの偉大さに気付くことができるのではないか。

 手塚治虫に挑んだAIと人間が作り上げる新生ブラック・ジャック。どのような話になっているのか、今秋の公開が楽しみだ。

《受賞コメント》
 「ブラック・ジャック」は、何度も読み直すくらい大好きです。将来医者になりたいので、医療技術や専門用語の勉強にもなっています。感想文は、自分の考えばかり述べないように、事実関係や世間の反応を盛り込みました。人工知能(AI)が、手塚さんの意思をどのように引き継いで新作を描くのか楽しみです。


高校生の部・村上 咲綺さん(鳥取西高2年)
5月19日の日本海新聞「18歳未満医療費 全市町村完全無償化」を読んで
 私は、将来医療関係の仕事に就きたいと思っているので、この記事を選んだ。初めて、鳥取県が医療費の無償化を目指していることを知り、興味を持った。私は医療費の無償化にあまり賛成ではない。

 医療費には医師の診察を受ける医科診療費、歯医者で治療や検診を受ける歯科診療費、処方された薬を受け取る調剤薬局費などがある。医療費が無償化されると、家計支出を大きく抑えられるという大きなメリットがある。

 そして、医療費無償化は少子化対策にとって重要である。大人に比べて受診する機会の多い子どもの医療費を支援するために、全国では医療費助成制度が導入されている。無料の地域は受診時にお金がかからないことから、子どもに何かあったときも費用を気にせず医療機関にかかれる。

 しかし、医療費無償化が実施されている自治体の一部では、過剰受診が問題となっている。過剰受診とは、病院に行く回数が多すぎることである。些細(ささい)な症状なら市販薬を使うべきだと考える人が多い一方で、医療費がかからないのなら医師に診てもらった方が安心だと考える人もいる。

 過剰受診が増えれば増えるほど国の財源が少なくなっていくため、医療以外の部分に影響が出るかもしれない。無償化ではなく助成に切り替えられる恐れや、増税といった国民に影響が出る問題まで発展する可能性もある。実際、持続的な助成を行うために、制度を見直す自治体もある。兵庫県三田市では、中学生以下の医療費を無償化としていたが、税収の減少にともない、患者の一部負担や所得制限の導入を決めた。

 鳥取県は現在、0〜18歳までを対象に入院の場合、患者が医療機関の窓口で支払う額の上限を医療機関ごとに1日1200円で月15日まで、通院では530円で月4日までと定め、それ以外の部分を県と市町村で半分ずつ助成している。これを24年度から自己負担のない全額助成にする方針である。

 救急車の適正利用についてもそうだが、無料というのはなんでもモラルハザードを絶対引き起こすと思う。当初は「ありがたい制度だな」と思ったとしても、時間がたつにつれ「あって当たり前」の制度になってしまう。「あって当たり前」の制度になってしまうと、兵庫県三田市のように無償化から一部負担になった時に困る人が出てくると思う。

 この問題はこれからの社会にとって重要な問題だと思う。なので今後、鳥取県の医療費の無償化がどうなっていくのか、新聞記事やニュースの報道内容に注意して見守りたいと思う。

《受賞コメント》
 文章を書くのはあまり得意ではないので、受賞は驚いています。将来は鳥取で医療関係の仕事に就きたいと思っているので、医療費の無償化については関心がありました。兵庫県三田市では過剰受診で困ることになりました。人口は少ない鳥取県ですが、問題になるかもしれません。今後も注視していきたいです。


  入賞者一覧
小学生の部
【最優秀賞】 岡本あおい(聖郷6年)
【優秀賞】 高塚侑生(船上6年)
小西葵佑子(義方6年)
水石詩葉(浜村5年)
【優良賞】 北村舞(小鴨6年)
寺岡優希(城北6年)
岡垣美咲(鳥大付5年)
野間田菜緒(船上5年)
山田流雲(城北6年)
【優秀学校賞】 船上小
中学生の部
【最優秀賞】 山本結羽(鳥大付2年)
【優秀賞】 岡田明子(湯梨浜学園3年)
林英未流(智頭3年)
横山英里香(江山学園9年)
【優良賞】 前田蒼衣(湯梨浜学園2年)
益田胡桃(智頭2年)
山本真央(江山学園9年)
金子満星(湯梨浜学園1年)
池本靖悠(桜ケ丘1年)
【優秀学校賞】 湯梨浜学園中
高校生の部
【最優秀賞】 村上咲綺(鳥取西2年)
【優秀賞】 小久江凜奈(鳥取西2年)
西本光(鳥取西2年)
鳥飼綾乃(湯梨浜学園1年)
【優良賞】 山尾純青(鳥取西2年)
諸家千和(鳥取西2年)
新結喜(鳥取湖陵3年)
山田唯加(青谷3年)
吉田誠宏(鳥取西2年)
【優秀学校賞】 鳥取西高

【主催】新日本海新聞社 、日本海新聞を発展させる会
【後援】鳥取県教育委員会

   
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