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受賞作品 感想文部門
「はやぶさ」から学んだこと
千代 悠人
南部町立西伯小学校6年
「小惑星探査機『はやぶさ』宇宙の旅」 汐文社 |
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「えー、これが、あのはやぶさ君なの?」
ぼくは、小ケースに展示されている、回収されたカプセルやパラシュートを見て興奮していた。小さいけれど、言葉にできないほどの存在感があったのだ。
「はやぶさ君」と呼ばれて親しまれていた彼は、はるかかなた、宇宙を目指して旅立ってから、七年間六十億キロの長旅を終え、この地球に帰ってきていた。地球から太陽までの倍の距離の三億キロも離れた「イトカワ」という小惑星に、地球誕生の謎などを解明するために、サンプルを持ち帰るというミッションを背負って旅立っていったのだ。
彼は、イオンエンジンやレーザー高度計などを積みこんでおり、最新技術の塊のようで、すごいと思った。
しかし、一回目の挑戦は、不時着という予想外の結果だった。彼は、傾いた姿勢で「イトカワ」に着地し、三十分以上も横たわっていたのだ。ぼくは、その様子を見て、大丈夫なのかと心配になった。その後、「イトカワ」から百キロ以上も離れてしまったが、管制室の人々は、「この次こそは絶対にサンプル採取を成功させてみせる!」と言う気持ちで表情を引きしめ、決意を新たにした。ぼくは、その姿に感動し、応援したくなった。でも、日本中の期待を背負った管制室の人達と彼は、相当なプレッシャーを感じていたに違いない。ぼくも、校内マラソン大会で、毎回一位をねらうというプレッシャーで、腹痛になった事を思い出した。
管制室の人達のがんばりで、二度目の着地に挑戦して、成功した。その後、彼が地球に帰還するように、管制室のメンバーは、ぼくが想像できないほど、努力や研究をして、その日に向けて、用意周到、念入りな準備が進められた。けれど、心なしかメンバーの表情は、どこか淋しそうでもあった。その理由は、彼を、仲間や友達のように思っていたからだと思う。七年間以上の月日の中で、家族のような絆が生まれたのだろう。
ぼくが、この本を通じて彼から学んだ事は、「挑戦心」「努力」「団結力」の大切さだ。これらがあってこそ「成功」というものが初めて生まれる事を実感した。ぼくには、理数系の仕事、つまり、研究者、科学者、医者になるという将来の夢がある。この夢を叶えるために、色々なジャンルの読書をしたり、体をきたえるために、水泳やミニバスケットなどのスポーツをして、少しずつ努力の積み重ねを続けている。
これからも、もっと、ミニバスケットの仲間と団結して、勝利という目標に向かって、挑戦していきたいと思った。
これらを教えてくれた「はやぶさ」は、みんなの「熱い魂」、そして「想い」をのせて、流れ星となって夜空に消えていった。でも、「はやぶさ」は、みんなの心の中で永遠に生き続けている。ぼくは、この本を一生の宝物にしたいと思った。
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