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受賞作品 感想文部門
「『100年たったら』を読んで」
西尾 瑛麻さん
八頭町立郡家西小学校3年
『100年たったら』(アリス館)
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「ひとはどんどん生まれかわり、次々に命がつながっていきます。そして、何度もこの世界にあらわれるのです。」
わたしが龍徳寺で合宿をしたとき、おしょうさんが開会式で話されました。一年生だったわたしは、「本当にそんなことが起こるわけないじゃん。」と、しんじられませんでした。その時は小学校へ入学したばかりで、言われていることの意味がよく分からなかったのでしょう。ところが、「100年たったら」を読んで、「おしょうさんのお話は、本当かもしれない。」と思うようになりました。
広い草原に住んでいたライオンはひとりぼっちでしたが、ある日旅鳥のヨナキウグイスに出会いました。つかまえて食べようとしたライオンは、鳥の小さな体とぼろぼろのつばさを見つめて、気がかわりました。ライオンと鳥はいっしょに虫を食べ、いっしょにひなたぼっこをし、鳥はいい声で歌を歌って、ライオンのたてがみの中をねぐらにしていました。この時が、二人にとって一番幸せだったのかもしれません。
ところが、月のきれいな夜、鳥は天国に旅立ちました。鳥が死にそうになったとき、
「おれはただ、あんたといたいんだよ。」
と言いながら、ライオンはおいおい泣きました。ライオンにとって鳥はかけがえのないそんざいになっていたのでしょう。
そして、その後の二人の会話とやり取りがとても感動的でした。
「また あえるよ。」
「いつ?」「ねえ、いつさ?」
「うーん、そうだね、100年たったら。」
苦しまぎれにこたえた鳥は、歌い始めました。かすれる声。と切れと切れの歌。それでも鳥は歌いつづけ、ライオンはじっと耳をかたむけました。「この時がいつまでもつづいてほしい。」と思っていたか、「またいつか出会いたい。」とねがっていたか、わかりませんが。
それから百年がたち、ライオンは貝になり、鳥は海の小さな波になりました。波は貝にやさしく海をとどけ、波が来ると、貝はよろこびました。また百年がたち、ライオンは三人のまごがいるおばあさんになっていました。ある日曜日、まごが持って来た赤いひなげしの花が、あの鳥でした。おばあさんは、毎日ひなげしをながめてくらしました。
それから何度目かの百年がたったとき―ライオンは男の子として生まれ、鳥は女の子として生まれました。そして、さい後に二人は小学校の校庭で出会ったのです。「こんな運命があるなんて、ゆめみたい。」とわたしはおどろきました。これから二人はどうなっていくのかなと、わくわくしてきます。
わたしの命は、もしかすると、だれかが生まれかわった命なのかもしれません。そして、ライオンみたいにだれかあいする人と出会うのでしょうか。わたしは、おしょうさんが言われたことをしんじたいです。次々に命がつながっていくとしたら、すばらしいですね。
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