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受賞作品 感想文部門
人につくすということ
青木 拓憲
八頭町立八東小学校5年 「スペシャル・ガール」 汐文社 |
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ぼくは、『スペシャル・ガール』という本を読んで、人につくすことの意味について考えた。国境なき医師団の看護師として、内戦続きのリベリア共和国を訪れた美木朋子さんは、十一才の少女マーサと出会った。マーサは、なん民キャンプで暴行を受け、ねたきりになってしまった。朋子さんは、そのマーサを自費で日本へ招いて治りょうを受けさせ、ほそう具を使って立てるようになるまでに回復させたのである。外国で出会っただけの子どもを日本へ招いて治りょうを受けさせるなど、何から手をつけてよいか分からない程、大変なことだったはずだ。けれども、朋子さんには、「マーサを救いたい」という強い気持ちがあったからこそ、周りの人々の協力が得られ、その輪が広がって実現できたのだと思う。
ぼく達五年生も、朋子さんのように、人の役に立とうと活動したことがある。なん病の一才の男の子をしょうかいしたある新聞記事をきっかけに、自分達にできることを何かやろうと話し合い、ぼ金活動に取り組むことにした。学習発表会に来てくださった人によびかけたり、校内放送で全校児童に協力を求めたりしたところ、みなさんから多くのお金が寄せられた。そして、後は手術を待つばかりと思っていた矢先に、その男の子が亡くなった。ぼく達は、おどろきと悲しみで言葉も出なかった。だまりこんでしまったぼく達に担任の先生は、
「みんなは、男の子のために自分にできることをやりながら、たくさんのことを感じたと思う。その感じたことの中に、男の子からのメッセージがこめられているんだよ。」と話してくださった。ぼくは、自分が感じたことをゆっくり思い返していた。
ちょうどそのころ、ぼくはこの本に出会った。マーサは、朋子さんへあてた手紙の中で朋子さんにとても感謝しているけれど、お返しするものが何もないと書いていた。けれど、ぼくは、マーサも朋子さんの心の中に、メッセージを残したにちがいないと思った。つらい体験を乗りこえようと必死で生きるマーサの姿は、「人は、支える人がいることで、つらい時でも希望を持って生きられる」というメッセージとして伝わったと思う。また、マーサに一生けん命つくす朋子さんの周りの人が、次々と協力してくれたことから、「人は、支え合うことできずなが深まっていく」というメッセージも伝わったと思う。
人につくすということは、人のことを考え、何か自分にできる活動をしているようでも、自分も相手からたくさんの思いを受け取っているということや、相手のためにしたことや願いは必ずとどいているということを、朋子さんの生き方から教わった。
ぼくのすぐそばにも、なやんでいる人やつらい思いをしている人がいるかもしれない。自分にできることを探して、少しずつでも人につくしていきたい。朋子さんやマーサのように、ぼく自身も精一ぱい生きながら。
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