受賞作品 感想文部門


  新日本海新聞社社主賞
屋久杉に会いたい

有沢 理香子
湯梨浜町立東郷小学校4年


「時間の森〜屋久島」そうえん社


「うわあ。この木生きているみたい。年をとってしわしわになったおじいさんみたい。」

 私がこの本に興味を持ったのは、本の表紙の木が人の顔に見えたことと、「屋久島」と書いてあったからです。いつかお母さんが友達から屋久杉の木霊の写真をもらって、それを見ると幸せな気持ちになれると言っていたのを思い出しました。

 何回ページをめくっても写真ばかり見てしまい、文章はずいぶん後で読みました。

 どのページをめくっても、森は静かそうで、自分が一人でその森へ行って屋久杉の下に立ったら、どんな気持ちになるのかなと思いました。写真で見た屋久杉は、まわりにたくさんの仲間はいるけれど、誰ともしゃべらずにただ立っています。冷たい雨や雪にぬれながら、一言も文句を言わずにいます。何千年も同じことをくり返していておもしろいのかなあと思いました。

 でも、読んでいくうちに、気持ちがかわりました。屋久杉は、森の中のボスみたいなもので何千年も、森を見守ってくれているんだなと思いました。見た目は、とっても大きくてしわがたくさんあるのでこわそうに見えるけど、本当は心強くて、やさしい木だと思います。

 この本を読むまでは、森や自然についてあまり考えたことはありませんでした。ふだんの生活は人間としかあまりかかわらないからです。でも、この本を読んで生きているのは人間だけじゃないことが分かりました。ほかの植物や動物も私達と同じように生きているんだなあ、みんなつながっているんだなあと思いました。

 去年、私達四年生は、東郷ダムのまわりに、コナラとクヌギを植林しました。植林する前は松がたくさん植えてありました。でも、松食い虫が松を食べてからしてしまったそうです。だから今度は、コナラとクヌギを植林しました。植えた木は三十センチくらいの小さな木でした。まだ小さいけれど、私達が大きくなるころには、コナラやクヌギも大きくなって屋久杉みたに森のボスみたいな木になってほしいです。そして東郷の森を見守ってくれたらいいなと思います。

 それから私の住んでいる東郷は、梨の木がたくさんあります。久見地区には、「百年樹」とよばれている二十世紀梨の木があります。今は、二十一世紀になっているけど、「二十世紀」という名前を大切にしているそうです。時間がたっても守りぬくものがあるのは、すてきなことだと思います。「百年樹」といっても二百年、三百年と生き続け、屋久杉みたに長生きしてほしいです。

 いつか、大好きな家族と一緒に屋久島に行って、ボスの下に立ちます。「時間の森」のいのちが続いて、木霊がずっと生きていたらいいなと思います。

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主   催 鳥取県学校図書館協議会、新日本海新聞社
特別協賛 鳥取支社
協   賛 鳥取県教科図書販売株式会社、鳥取県書店商業組合、鳥取県教育文化振興会、金の星社、くもん出版、そうえん社、汐文社、福音館書店、ポプラ社、理論社、光村教育図書

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