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受賞作品 感想文部門


  入選
「月の剣の物語抜けなくなった剣」を読んで

大下 歩
琴浦町立八橋小学校 4年


「月の剣の物語 抜けなくなった剣」理論社


 ビーバーがこしにさした「月の剣」。抜けなくなった剣にどんな物語があるのだろう、一から八までの章を早くおしまいまで読みたいという気もちで読み進めました。

 ビーバーは、かわうその先生から剣を学びます。そして、しかられることの大切さも学びます。自分の死期が分かった先生は、わざと折れた剣と月の剣をビーバーに持たせ、一人でま物退治に行かせます。それは、月の剣をビーバーにたくせるかどうか、最後のきびしい修行なんだと思いました。

 大きな魚のま物を退治しようとしたとき、ビーバーは、魚の目に深い悲しみが宿っているのを見つけます。ま物は、子どものころ自分をごまかし、いい子のふりをしているうちに、自分にもまわりにも、うそをつくのが平気になり自分をなくしてしまったのでした。うそなんかついていないと、自分にうそをつき続けた結果、大きくなっていくうちに、すがた形が変わってしまったという話を読んでぞっとしました。

 そして、まわりを苦しめることしかできないま物の悲しみが剣にしみつき、月の剣は抜けなくなってしまいました。それだけでなく、ビーバーは、猿の剣術使いのおごり高ぶった心と変わりない自分の心に気づきます。その上、悲しい目をしたま物たちもビーバーの心にすみついていました。でも、ぼくは、月の剣が抜けなくなってしまったのはビーバーにとってよかったんだと思いました。あのまま、何も考えず剣をふっていたら、ビーバーも猿のようになっていたからです。自分を見つめ、ふり返ることは大事なことだと思いました。

 小さなうさぎにせがまれて、ビーバーはじぶんのことを一つ一つ話し始めました。ビーバーの心にしまいこんでいた、ひとつひとつの思い出がよみがっては消え、最後の思い出が消えた時、月の光があふれるように月の剣がすっと抜けたのです。剣から流れ出たま物の悲しみに剣をふり下ろした時、全ての悲しみや苦しみが消え、幸せや喜びにつつまれました。

 小さなうさぎに話すことで、重くしずんでいたビーバーの心が解放されたのだと思います。一人ぼっちで旅をしているうちに心のやみに入りこんでしまったビーバーの心が、だれかに自分の気持ちを話すことでやみから抜け出すことができました。月の剣は、うでだけでなく、持ち主の思いもあってこそ使える剣だと思いました。

 ぼくは、この本を読んで、自分にいろいろなことを教えてくれたり話を聞いてくれる人の大切さを学びました。ビーバーにとっては、かわうそやうさぎだったけど、ぼくにとってのうさぎはお母さんです。話をするとお母さんはそれに答えてくれるので、すっきりすることがよくあります。そして、家族や学校の先生、友達が、ぼくにたくさんのことを教えてくれます。その人たちに、もっと感しゃをしないといけないと分かりました。ぼくは、この本を読んでよかったと思いました。


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主   催 鳥取県学校図書館協議会、新日本海新聞社
特別協賛 鳥取支社
協   賛 鳥取県教科図書販売株式会社、鳥取県書店商業組合、鳥取県教育文化振興会、金の星社、くもん出版、そうえん社、汐文社、福音館書店、ポプラ社、理論社、光村教育図書

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