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主人公てつやは小学校五年生。クラスメートを笑わせるのが得意な人気者です。ある日、クラスの子が「将来なにになるか」を話しあっていました。将来なんて考えていなかったてつやは、「超かっこいい笑いの王子様」というお笑い芸人を目標に、おさななじみのマルアキと一緒にプロデビューを目指して、放課後ライブをしたり、コンテストに出場します。でも、残念ながら隣の学校のライバルコンビに優勝をとられてしまいます。運良くてつや達もスカウトされるのですが、なぜかその話を断ってしまう。そんなお話です。 私は、テレビでお笑い番組を見るのも、友達と冗談を言い合ったりするのが大好きなので、とても読みやすい本だと思いながら、アッハハハハと笑って読み進みました。 登場人物の仲のよさにもびっくりしました。てつやとマルアキは、信用しあっているのはもちろんだけど、はじめて覚えてきたコントを二人が教室で披露したとき、てつやが一番に笑って欲しかったまりなちゃんだけが笑いませんでした。「おもしろそうなのにどうして」と私が思っていると、理由はテレビに出ているお笑い芸人のネタをそっくりそのまま演じていたからです。ふだんのてつや達のほうが、ずっと面白いとまりなちゃんは知っていて、真似をしているのが悲しかったのだとやっと気がつきました。私は、てつやとマルアキとまりなちゃんは、お互いのことをよくわかりあっていてうらやましくなったし、まりなちゃんのアドバイスに耳を傾け、落ち込むこともなく次々とネタを考えるいっしょうけんめいさがかっこ良かったです。 私が一番に不思議だったのは、プロデビューを断ってしまうところです。ライバルはずっとまえからプロになろうと努力をしてきて、てつや達が気づいたように「もっと笑わせるための努力の量」はあとで私も分かったけど、そんなにある話でもないし。私だったらスカウトが説明したように、歌や踊りの仕事をやるとなったとしても、ぜったいにデビューさせてくださいと返事しちゃうだろうな。でも、自分達が本当にやっていきたいお笑いと、そうなるためのいろいろな方法があり、それを勉強するためにはたくさんの時間も必要だということを、きっと二人は努力したりライバルに負けたりしながら、気がついたのだと私は思いました。だから、今から自分達の将来を決められたくないんだと、自信をもって言えたのだと感心しています。 私も今年で小学校五年生になります。勉強はがんばってるし、成績表があがるとうれしいけど、てつや達と比べるとなりたいものには努力不足です。「将来」私は本好きだから図書館の司書とか、ほんの少しだけ小説家になりたいと思っています。どうやったらなれるか分かりませんが、てつやのように行動してみようと思うようになりました。それから、自分らしくいて親友を大切にして、夢があって。そういう事をずっと大切にしていきたいです。 << 「受賞者のみなさん」一覧へ |
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