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「ユダヤ人だから」こんな理由で、なぜ多くの人を苦しめ、ひきさき、殺していくのでしょう。人を物のようにあつかい、罪のない多くの人を殺していくのです。そんな権利、同じ人間にはありません。どんなにつらく悲しかったことだろう、どれほどくやしかったことでしょう。しかし、人々は死に慣れていくのです。毎日たくさんの人が死んでいき、人が目の前で死んでもなんとも思わない、そんな世界です。 ハンナ・ブレイディは十三歳で一生を終えました。ハンナもホロコーストによって殺されたのです。もしも、ハンナと同じようなめにあったらと思うとぞっとしました。ハンナのことを思うと自然となみだがあふれてきました。ハンナと同じような子供が、百五十万人もいたのです。そして、みな同じように殺されていきました。私は、こんなことをした人たちを許せない気持ちでいっぱいになりました。しかし、このホロコーストの背景には、「ユダヤ人に対する差別や偏見。異なった宗教、民族、習慣などを受け入れることのできない人間の弱さ」があるのです。このことが、何百万人もの人が殺されるホロコーストの原因だったのです。 私は今まで、様々な差別問題について学習をしてきました。特に六年生になってからは、部落差別の問題を中心にグループに分かれて話し合ったり、調べたりなどの活動をしてきました。私はこの活動を通して、多くのことを深く考えるようになりました。差別をなくしていくには、差別を自分の問題として考えること、自分からなくしていくんだという強い意志を持つこと、そして問題に気づく目や、行動していく勇気が大切ということなど、たくさんのことを学びました。差別はホロコーストのように、たくさんの人の権利だけでなく、命もうばっていくとてもこわいものです。 人が苦しみ、悲しみ、殺されていったホロコーストを、二度とつくってはいけません。そのためには、自分の周りにある身近な問題からなくしていかなければならないと思いました。すぐに、どんどん進んでいるわけではないけど、前に向かって少しずつ自分を変えたいと思います。話し合いで意見が一回でも言えるように、自分の思いが友達に伝えられるように、自分から声がかけられるように一歩一歩階段を登ろうと思います。時には立ち止まるかもしれない、後ろへ下がってしまうかもしれません。でも、差別のない平和な世の中にするために、自分からがんばっていきたいと思います。 「ハンナのかばん」は、私たちにホロコーストのことを、そして平和な世の中になるようにという願いを届けたかったのだと思います。だから私は、ハンナのように苦しんできた人々のためにも、そして今なお差別で苦しんでいる人たちのためにも、自分たちのためにもがんばっていきたいです。 << 「受賞者のみなさん」一覧へ |
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