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vol.120エコ活動28年 地域に共感の輪 彦名地区チビッ子環境パトロール隊
2018.8.30
米子市のエコクラブ「彦名地区チビッ子環境パトロール隊」(向井哲朗代表)は、結成から28年間にわたり地域でエコ活動に取り組んできた。鳥取県が2017年度に創設した「とっとり環境杯」でも、障がい者施設と協働した廃食油を再利用する活動が評価され、優良賞を受けた。地域で取り組んできた活動を紹介する。
廃食油をBDFに 障がい者施設と協働
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家庭などから回収した廃食油をタンクに移す吾亦紅のメンバー |
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環境保全活動に取り組む彦名町のシンボル塔 |
水質浄化に
中海に面した彦名地区。環境意識の高まりとともに、中海の水質汚濁が問題となっていた1990年、同市彦名町の環境カウンセラーの向井哲朗さん(77)の指導のもと、次代を担う子どもたちに呼び掛け、同クラブは結成された。
中海の水質浄化をきっかけに、広く環境問題について学んでもらおうとフィールドワークを行った。その取り組みは、町内の環境パトロール▽中海の湖上観測・水質調査▽メダカの調査▽廃ストッキングを利用した微細食べかす流出防止▽廃食油の回収▽環境新聞「中海」発行−など。
中海の水質汚濁の原因の一つである生活排水対策には、最優先に取り組んだ。向井代表は、食器の汚れをぼろ布などで拭き取ってから食器を洗うなど家庭でできる対策を指導。「中海の水質浄化は家庭から」を合言葉に、子どもたちから家庭へ、地域へと活動に共感する輪が広がった。
BDF製造
94年からは、てんぷら油など廃食油の台所からの垂れ流しに歯止めを掛けようと、公民館や集会所に設置したタンクに、各家庭の廃食油を回収する活動を始めた。さらに地区内の障がい者施設「吾亦紅(われもこう)」(木村邦広施設長)と協働した資源の再利用に発展した。
吾亦紅のメンバーが家庭や市内の旅館、居酒屋などを回って廃食油を回収。同施設内に導入した精製設備を使って、軽油代替燃料のバイオディーゼル燃料(BDF)を製造した。廃食油200リットルからできるBDFは180リットル。製造したBDFは施設のトラックや送迎バスなどの燃料に利用してきた。
この取り組みは、近年の環境対応車を巡る社会情勢の変化から、9月末で終了することになったが、木村施設長は「廃食油の回収は、吾亦紅と地域との懸け橋になっていた。地域の皆さんに環境と福祉について考えてもらう良い機会になった」と話している。
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毎月1日に発行している環境新聞「中海」 |
環境新聞
89年11月から毎月1日に発行し続けている環境新聞「中海」は8月で373号を数える。地区内の家庭をはじめ、県内の小中学校や行政機関、国内外の環境団体、また取り組みを応援してくれる個人など500カ所に郵送や電子メールで、活動やトピックスを発信している。
環境保全活動を通して、子どもたちに国際感覚も身に付けてほしいと、国内外のエコクラブや環境保全活動家とも、ビデオメッセージ交換や環境体験学習指導などを通じて交流。これまでに韓国、アメリカ、ドイツ、ロシア、中国の人々と親交を深めた。
向井代表は「地球規模で環境を考え、地域が協力して行動を起こしていけば、時間がかかっても住みやすい環境になる」と環境教育、環境活動の継続の大切さを訴えている。。
地球温暖化はいま
【第5次エネルギー基本計画】
荒ぶる気象時代の到来 脱炭素社会の構築、早急に
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7月の西日本豪雨の被災地・広島市安芸区=ひろしまNPOセンター提供 |
猛暑や豪雨などの異常気象が一気に押し寄せているかのようなこの夏。平成最後の年に平成最大の異常気象となった豪雨が西日本を襲いました。世界的にも山火事や大洪水など、気象災害の情報が日々更新され絶えることがありません。
折しも7月には気候変動の要因である温室効果ガス排出抑制などを目的とした「第5次エネルギー基本計画」が閣議決定されました。
今回のエネルギー基本計画では、常に踏まえるべき点として「東京電力福島第一原子力発電所事故の経験、反省と教訓を肝に銘じて取り組むこと」などを原点として検討を進め、パリ協定の目標達成の2030年、脱炭素社会への到達に向けた50年への方針を示したとされています。
さらには、まだ道半ばのエネルギーミックス進捗(しんちょく)への強化を行うと同時に、パリ協定発効に見られる世界的な脱炭素化への流れを踏まえて「エネルギー転換・脱炭素化に向けた挑戦」を掲げています。
内容としては、徹底した省エネルギーと再生可能エネルギーの可能な限りの促進としていますが、他国の計画と比べると見劣りが否めなくはありません。
そもそも、温室効果ガスの効果は排出してから30年後といわれています。ということは、もし今日から排出を十分に減らしたとしても、効果が出るのは30年後。30年後の未来を決めるのは、現在を生きる私たちに他なりません。
命を危険にさらす「荒ぶる気象の時代」の到来を迎えたといわれる平成最後の年。異常が恒常化している気候に適応するのはもとより、これ以上の温室効果ガス排出を許さない社会を早急に構築し、30年後の歴史の教科書には、平成時代を自然災害で命を失った最後の世代と記す覚悟が求められています。
(鳥取県地球温暖化防止活動推進センター 山本ルリコ)
トップが語る環境問題
災害ごみ処理体制の必要性
北溟産業有限会社
(倉吉市岡)
代表取締役社長 中川 優広
この度の西日本豪雨によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
1週間という短い間ですが、広島県三原市に災害ごみ処理のボランティアに行ってきました。軒先に並んだごみと、仮置き場となったグラウンドいっぱいのごみを少しでも片付けたいという気持ちでトラックを走らせながら、今後も起こり得る大規模災害に備えたごみ処理体制の必要性を感じました。まずは被災地の皆さまが県や地域を越えた協力もあって、一刻も早く日常を取り戻されることを願うばかりです。
エコ商品の開発販売を推進
リバードコーポレーション
(鳥取市徳尾)
代表取締役社長 川口 大輔
グループ企業リバードバングラデシュは、同国の黄麻製品であるジュートロープを弊社独自ノウハウにより改善改良し、農業用高級誘引紐(ひも)・バインダー紐として、日本に輸入し販売しています。この商品は100%天然麻から作られているため、PP製品と違い、時がたてば自然に土に返るという、極めて環境に優しいエコ商品となります。
スターバックスのストローの取り組みのように、プラスチック製品が減っていくであろう未来に対し、われわれはこういったエコ商品の開発販売を、さらに推し進めようと取り組んでいます。
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