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vol.176 脱炭素地域先行モデルに
2024.1.25
カーボンニュートラル(温室効果ガス実質排出量ゼロ)の実現に向け、地域脱炭素の動きが加速している。鳥取県内では2022年4月に米子市・境港市が、23年4月に鳥取市がそれぞれ環境省の脱炭素先行地域に選定された。地元企業、金融機関、教育機関などと連携し、地域経済の活性化や住民生活の向上などへの相乗効果を見据えた取り組みを進めている。
鳥取市 2エリアで再エネ地産地消
発電設備EV普及 持続可能なまちづくりへ
鳥取市が進める脱炭素先行地域づくり事業は、とっとり市民電力と山陰合同銀行、公立鳥取環境大の3者との共同提案。若葉台地区と佐治町の二つのモデル地域で再生可能エネルギーの発電設備を導入し、エネルギーの地産地消を展開。2030年度までに民生部門の電力消費に伴う二酸化炭素(CO2)排出実質ゼロを目指す。
若葉台地区は街が開かれて30年以上がたち、高齢化やインフラの老朽化が課題に。山間部の佐治町はさらに高齢化が著しく、災害耐性の向上や生活交通の維持に課題を抱える。事業では脱炭素実現への取り組みを通じて、地域課題の解決や住民の暮らしの質向上も図る。
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9基の風車が稼働する「北条砂丘風力発電所」 |
若葉台
若葉台地区では、住宅や民間・公共施設の屋根に発電事業者が無料で太陽光発電設備を設置するPPA(電力販売契約)を導入。住民は屋根からできる電力を直接使うことで割安な料金で使用でき、事業者は住民からの支払いを資金に設備投資やメンテナンスを行う仕組みだ。本年度は50基の設置に向けて動いており、27年度までに既存戸建住宅の約6割にあたる750戸に設置予定。生み出された電力は蓄電池などで需給調整を行い、自家消費率の最大化を図っていく。
また、サブスクリプション(定額利用)でのEV普及、中古EV(電気自動車)のリース事業も構想。地区内にある環境大は、建物の断熱化と太陽光発電設備の導入でカーボンニュートラルキャンパスを目指す。
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「COP28」のパビリオンで発表を行う鳥取県内の学生 |
佐治町
佐治町には太陽光発電設備の他に小水力発電を整備予定。物流配送への交換式バッテリー活用を検討中で、住民の“足”となっているデマンド交通車両をEV化する。
木質バイオマス熱電併給設備の整備は、地区の88%を森林が占める地域の特性を生かした取り組み。地域おこし協力隊による森林保全や熱源を利用した農業なども進め、産業振興や地域活性化につなげる。
市スマートエネルギータウン推進室によると、2地域を合わせた再エネ供給量は、年間2万6827MWh(メガワットアワー)(一般家庭約5千世帯分)を目指す。大角真一郎室長は「脱炭素の実現とともに地域内資金循環を促進し、持続的なまちづくりを進めたい」としている。
ECO(エコ)ワード解説
【脱炭素先行地域】
政府目標の2050年に先駆けて、30年度までにカーボンニュートラルに取り組む自治体などの事業提案を国が選定し、財政支援する。複数の自治体で一つの先行地域を構成する例もあり、22年4月を皮切りにこれまで36道府県95市町村の74提案が選定されている。
未来へつなぐ私のチャレンジ 公立鳥取環境大学通信
(1)気候変動とは何か
「日本にとって」という視点が必要
環境学部環境学科4年 横山 椋大
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COP28が開かれた現地の様子 |
私は昨年、アラブ首長国連邦ドバイで開催された、国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)に、トットリボーン!使節団の学生リーダーとして参加した。ジャパンパビリオンでの登壇、会議視察、そして各国の方々と気候変動対策や現状にまつわる意見交換などが主な活動であった。
現地では、「気候変動をどう捉えるか」が脱炭素に向けた活動の前に不可欠だということを痛烈に感じた。気候変動は災害など目に見える変化もある。しかし、目に見えず変化を感じにくい変化もあるため、人々の解釈によるところがある。よって世界規模のこの問題に立ち向かうためには、「日本にとって気候変動とは何か」という視点からこの問題を捉え、そして行動を起こし、仲間を増やしていく必要があると感じた。
日本にとって気候変動とは何か、それは「日本のアイデンティティー損失の危機」であると私は思う。日本は古来より四季の移り変わりを感じながら、環境と調和した暮らしを築いてきた。最たる例が和食である。
今後、気候変動により私たちの暮らしに大きな影響がある。例えば、四季の区別が曖昧になり、四季を感じない暮らしへと変わる可能性などだ。四季を感じることがなくなった暮らしが、日本の暮らしと胸を張って言えるのか?
まずは、この大きな問題に対し、日本人にとって気候変動とは何か、各人で考えてみる必要があると私は思う。
わたしたちのちょっとエコアクション
暮らしの中でエコにつながる行動はさまざま。「何かをしながら」「何かのついでに」できると、気負うことなく続きそうだ。肩肘張らず、手軽に取り組む県民エコ活動を紹介する。
ながらエコ、ついでエコ(2)角田 幸子さん(米子市)
Q あなたのエコ活動は?
A 保温調理でエコクッキング
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「手間がかからず、無理なくできることからエコに取り組んでいます」と角田さん |
子どもが生まれたときに「とってもおすすめ」と母が持って来てくれた保温調理器。もう10年以上、みそ汁やスープ、カレーやシチュー、煮込み料理やおかゆなどさまざまな料理で愛用しています。
調理し沸騰したら、鍋ごと保温容器に移します。余熱で調理でき、コンロを使う時間が短縮。料理が冷めないので、少し早めに作ったり、家族の食べる時間が異なったりした場合でも温め直す必要がありません。
普段の生活ではなるべく使い捨てを減らす、リサイクルできる素材の物を選ぶなど無理なくできる範囲でのエコを心がけています。
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