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特集一覧

2024

vol178脱炭素経営に導く 2024/4/30
vol177とっとりエコ検定 2024/3/31
vol176脱炭素地域先行モデルに 2024/2/28
vol1752050年脱炭素社会実現へ 宣言自治体の取り組み紹介 2024/1/25

2023

vol174学校の取り組み紹介 2023/12/25
vol173とっとりエコ検定 2023/11/28
vol172脱炭素へ 見直される薪の価値森林資源の有効活用 2023/10/30
vol171高断熱、省エネで快適住まい 2023/9/29
vol170脱炭素社会 環境対応車の普及・拡大へ 2023/8/27
vol169とっとりエコ検定 2023/7/26
vol168異常気象に備える 2023/6/25
vol167再エネの主力電源化に向けて 2023/5/28
vol166地域の環境保全 身近にできること 2023/4/26
vol165とっとりエコ検定 2023/3/29
vol164「食品ロス」削減推進 2023/2/25
vol163学校の取り組み紹介 2023/1/27

2022

vol162海洋ごみ 実態把握 2022/12/26
vol161とっとりエコ検定 2022/11/28
vol160進む「食品ロス削減」対策 2022/10/25
vol159エコとファッションの両立 2022/9/28
vol158子どもに住まいの教育を 2022/8/29
vol157とっとりエコ検定 2022/7/29
vol156環境に優しい車社会 2022/6/28
vol155森林や里山の保全、活用 2022/5/28
vol154再エネ普及へ活発化 2022/4/26
vol153とっとりエコ検定 2022/3/27
vol152エコツーリズムの推進 自然観光資源を生かす 2022/2/25
vol151脱炭素社会の実現へ カーボンニュートラルに挑む自治体 2022/1/31

2021

vol150省エネ住宅で快適な暮らし 2021/12/27
vol149暮らしで未来を変える〜エシカル消費のススメ〜 2021/10/26
vol148環境に優しい車の普及へ 2021/9/26
vol147環境配慮型ビジネスへ 2021/8/26
vol146人と環境に優しい農業 2021/6/30
vol145環境に優しい再エネの活用 2021/5/28
vol144循環型社会(4R)の実現へ 2021/4/30
vol143食品ロスをなくそう! 2021/2/25
vol142SDGsの推進 2021/1/31

2020

vol141多様な生態系を守る 2020/12/28
vol140快適な暮らしを実現 2020/10/28
vol139豊かな世界へSDGs実践 2020/9/28
vol138目指すべき未来 Society5.0の社会実現に向けて 2020/8/29
vol137環境守る森林、林業 2020/6/29
vol136自治体が挑む環境問題 2020/5/29
vol135持続可能な社会へ力添え 2020/4/30
vol134電動車で代替エネルギー活用 2020/2/27
vol133エコに通じる食、健康 2020/1/31

2019

vol132ごみの減量化に向けて 2019/12/26
vol131景観守り、地域活性化 2019/10/29
vol130環境ビジネス最前線 先駆的な再エネ活用 2019/9/27
vol129新たなステージ迎えた環境とビジネス 2019/8/30
vol128SDGs(持続可能な開発目標)を知り実践しよう 2019/6/28
vol127できることから温暖化防止 2019/5/27
vol126環境保全型農業の実践 開かれた農業セクターの可能性 2019/4/25
vol125自治体が挑むエネルギー政策 バイオマス発電の取り組み 2019/2/28
vol124山を守る 温暖化防ぐ取り組み 2019/1/30

2018

vol123対策広め、温暖化防止 地域で活躍するサポート活動 2018/12/27
vol122下水から発電 秋里下水処理場バイオマス発電所 稼動から1年 2018/10/30
vol121放置竹林の荒廃・拡大防げ 2018/9/26
vol120エコ活動28年 地域に共感の輪 2018/8/30
vol119雑草が生えない有機米栽培 2018/6/28
vol118循環型社会を目指して 2018/5/29
vol117人と地球に優しいエコな山村暮らし 2018/4/26
vol116住宅用太陽光発電「2019年問題」 買い取り満了 どう扱う!? 2018/2/27
vol115市民、企業、行政代表鼎談 2018/1/29
 
vol.115市民、企業、行政代表鼎談


2018.1.29
 
 地球温暖化対策や循環型社会の構築など、環境問題への取り組みは待ったなし。どう実践し、未来を切り開けばいいのだろうか。鳥取県内で環境問題に率先して取り組む市民、企業、行政の代表3氏に、「環境問題にどう取り組む」をテーマに話し合ってもらった。

県民挙げ環境保全推進

奥本 範子氏
若本 憲治氏
酒嶋  優氏
鳥取ガスのメガソーラー「東郷太陽光発電所」。鳥取県は再生可能エネルギーの導入を促進している=鳥取市西今在家

出 席 者
奥本 範子氏(鳥取県連合婦人会長)
若本 憲治氏(鳥取青年会議所理事長、株式会社ワイ・ビー社 長)
酒嶋  優氏(鳥取県生活環境部長)

とっとり環境イニシアティブプラン

 −「第2期とっとり環境イニシアティブプラン」は4月から最終年度を迎えます。取り組みの感想を。

  酒嶋  日本は2030年に、13年と比べ温室効果ガスを26%(家庭部門は40%)減らす目標を掲げています。鳥取県はプランで国を上回る26・9%の削減を目指し、再生可能エネルギーの導入など温暖化対策を強力に進めています。

 プランでは目標値を掲げています。例えば再生可能エネルギーの設備導入量や電力の自給率、家庭消費電力のカバー率については中間年の16年度末に達成しました。県民や企業の取り組みの成果と感謝しています。

 一昨年、地球温暖化対策の新たな国際的枠組み「パリ協定」が発効しました。県民や企業を主役に行政も一緒になって環境実践を次のステップにつなげようと、「とっとり環境推進県民会議」を設立しました。この県民運動を拡大して、大きな脱炭素社会のうねりを高めていこうと頑張っています。

再生可能エネルギー

 −再生可能エネルギーについての取り組みは。

  奥本  東日本大震災で起きた原子力発電所の事故をきっかけに、環境にやさしいエネルギーを見直そうという機運が高まり、国を挙げて太陽光発電や風力発電、太陽熱の利用などの導入推進が図られています。婦人会としてはちょっと難しい課題ですが、避けて通れません。少しずつ学びの場を設け、活動の範囲を広げています。

  若本  自宅に太陽光発電パネルを設置して、余剰電力を売却しています。少しでも温暖化防止に貢献しているという満足感やお得感がありますね。私の会社でも、太陽光発電の導入に向けて準備を進めています。

  酒嶋  環境イニシアティブプランに掲げた発電設備の目標実現に向けて、発電事業者を支援したり、太陽光発電を家庭で設置する際に市町村と一緒になって支援したりと、さまざまな制度を設けています。こうした制度を通じて、県全体で再生可能エネルギーの導入をどんどん進めたいと考えています。

 −今年、どういう取り組みを。

  酒嶋  発電事業者については県内外を問わず同じように支援してきましたが、目標も達成できたのでできるだけ地元に貢献してもらえるようにシフトチェンジします。地域新電力が県内に三つできているので、さらなる支援も必要でしょう。

  奥本  太陽光発電一つ取っても多額の設備投資が必要ですが、未来を見据えた投資ですので積極的に取り組んでいかないといけません。

 燃焼時にCO2を排出しない“究極のエネルギー”といわれる水素エネルギーにも注目しています。水素と酸素から電気と熱をつくる家庭用燃料電池「エネファーム」があると、災害時など大きな働きをしてくれると期待できます。

  若本  今後いろいろな分野で電気化が進み消費電力量は増加するでしょうが、再生可能エネルギーのブームが去った感があります。売電価格が下がっているので元が取れないというイメージが浸透して、少し消極的になっています。実際は初期投資が結構下がっているので、メリットは十分あります。もっと県からアピールしてはどうでしょう。

  酒嶋  県西部で事業可能性調査を実施しています。複数の公共施設に太陽光発電パネルや電気自動車から充給電する「V2H」システムを整備し、施設のエネルギー自給の最適化を図る仕組みです。新たなモデルをつくり上げ、次のステップに向かいたいと考えています。

 また、「再エネ特措法(FIT法)」の改正で、昨年4月から家庭用の太陽光発電に保守点検が義務づけられました。買い取り制度が始まったころに導入したパネルは来年で10年となり、メーカー保証が切れるころです。来月にも保守点検を行う業者が集まって団体が設立されるので、設置者は相談してパネルを長持ちさせてほしいです。

省エネ

 −創エネの一方、省エネは。

 奥本  省エネは「我慢」することではなく、「ムダを省く」こと。自分の生活にあった、無理のない方法を見つけて実践しようと申し合わせています。

 夏場は、“緑のカーテン”を植えれば、直射日光の熱を80%もカットできるそうです。定番のゴーヤーやアサガオ以外にも、ブドウやパッションフルーツなどおいしいカーテンも魅力的です。

 それから節電。家庭の電力消費の5%を占めるとされる待機電力をカットするため、テレビや洗濯機などのプラグをこまめに抜いたり、不用な電気は切ったりすることも大事。家電の中で最も消費電力量の多い冷蔵庫についても、各家庭に2台、3台あるのは無駄なこと。省エネ型の冷蔵庫に買い替え、1台にしようと呼び掛けています。

  若本  照明については、水銀灯や白熱電球をLEDにすると、消費電力量は85%も減るそうです。私の会社でもLED化したので、電気代が大幅にダウンしました。省エネ技術は格段に進歩しているので、空調でも照明でも新型にするとランニングコストが一気に落ちますね。

  酒嶋  国は地球温暖化対策のための国民運動「COOL CHOICE(クールチョイス=賢い選択)」をうたっていますが、県では「とっとり環境推進県民会議」で省エネ活動について知恵を出し合いながら、県民運動として盛り上げています。

 昨年、「星取県ライトダウンキャンペーン」を夏至から旧暦の七夕まで行い、美しい夜空をアピールしました。古い冷蔵庫を処分した家庭に県産牛肉などのセットを贈る「2台目冷蔵庫もうケッコーですキャンペーン」も実施。たくさん申し込みがありました。

 この他、「とっとり環境杯」で県民の優れたエコ活動を表彰しています。自らできるエコ活動を県民に宣言してもらう「みんなのエコ宣言」には、これまで約3千800件の応募をいただいています。

ごみ問題

 −循環型社会の構築に向けた取り組みは。

  酒嶋  県はごみゼロ社会を目指して、国が提唱する3R(リデュース=工夫して減らす、リユース=繰り返し使う、リサイクル=分別して資源として使う)に、リフューズ=不要なものは断る=を加えた4Rの実践を推進しています。

 家庭から出る可燃ごみの約2割が食べ残しなどの「食品ロス」で占められています。宴会の食べ残しなど食品ロスを減らす「3010(さんまるいちまる)運動」を普及啓発しています。宴会の初め30分と終わり10分は自席でゆっくり料理を楽しもうとする運動で、忘新年会や送別会・歓送迎会などで必ずPRしています。

 このほか、飲食店や宿泊施設に「とっとり食べきり協力店」をお願いし、小盛りメニューの導入などに取り組んでもらっています。

  若本  こういったキャンペーンが実はなかなか耳に入ってきません。鳥取青年会議所(鳥取JC)には約120人の会員がいます。われわれ企業経営者の意識が高くなると、それが社員、家庭に波及します。子育て世代も多いですから、もっと情報を発信してもらいたいです。

  奥本  生ごみの半分は家庭から出るということで、連合婦人会では古くからごみ問題に取り組んでいます。代表的なのが生ごみの堆肥化や液肥化で、とても甘くておいしい野菜ができるので喜んでいます。

 食品ロスについては、これまで大人向けの啓発をしてきましたが、昨年から県の委託を受けて幼児向けの取り組みを行っています。各地の婦人会が幼稚園やこども園、保育所を回って、紙芝居や演劇、踊りなどを通して啓発します。子どもたちがとても喜んで、食べ物を大切にする心やごみを減らそうとする気持ちなどを養っています。内容は子どもたちから保護者にも伝わるので、相乗効果がありますよ。

  若本  鳥取JCは毎年、鳥取砂丘や袋川、湖山池の青島で清掃活動を行っています。会員や家族が多数参加して、ごみ拾いに汗を流し、環境美化に貢献しています。

今年の目標

 −今年の目標を。

  酒嶋  昨年12月、「星空保全条例」が成立し、今年4月1日から施行されます。星空が見える環境を将来にわたって県民の財産として残し、地域振興や環境教育の資源に活用するのが目的です。星取県推進も県民運動として、どんどん進めたいと考えています。

 さらに、環境立県を地域活性化につなげる意味でも、県内の新電力のビジネスをもっと盛り上げ、地域経済が活性化して雇用につながるシステムをつくり上げたいです。

  奥本  原子力に頼らない再生可能エネルギーの導入に、本気で向き合わないといけません。太陽光発電や風力発電のほか、水素エネルギーも視野に入れて啓発していきたい。子どもたちへの食品ロスの啓発も引き続き強力に取り組み、全県から「それは知っているよ」と言われるようになればと考えています。

 県が進める「星取県」は、タイムリーな取り組み。大阪に住む孫が訪れ、「星がきれいだね」と感動した姿が忘れられません。環境が良く空気がきれいでないと、星も見えませんから。これからも環境問題にきちっと向き合い、美しい環境を次世代に残す覚悟です。

  若本  鳥取JCは、2009年から「環光のまち因幡」推進部を設けて、森林保全や鳥取砂丘での清掃をはじめ、環境保全を経済効果につなげる活動を続けています。今年は10年間の活動の最終年。しっかりと環境保全活動に取り組み、締めくくる覚悟です。

  酒嶋  いかに運動として盛り上げていくのか。県民に広く伝え、本当にいいことだと理解してもらった上で、みんなでそれに向かっていく。まさにそれが県民運動。県としてしっかり啓発していきます。

 第2期とっとり環境イニシアティブプラン 第2次鳥取県環境基本計画に基づき、2015〜18年度の4年間の実行計画として策定。エネルギーシフトや循環社会など6分野に分けて、住民やNPOなど多様な主体が連携し、取り組むべき目標値や施策を盛り込む。
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