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vol.143食品ロスをなくそう!
2021.01.31
売れ残り、食べ残しなどまだ食べられるのに捨てられてしまう食べ物は、日本国内で年間約612万トン(2017年度推計)に上る。食品ロスが引き起こす問題は「食料を無駄にしている」というだけにとどまらない。ごみとして燃やすことによって地球温暖化を促し、処理に必要な税金の無駄遣いにもつながる。食品ロスは住民一人一人の小さな心掛け一つで大きく減らすことが可能といわれており、鳥取県内でも企業や民間団体によるさまざまな取り組みが広がっている。
日本の現状は…
2017年度の日本の食品ロス発生量約612万トンの内訳は、売れ残りや食べ残しなど食品関連事業者の排出量が前年度比24万トン減の328万トン、家庭からが同7万トン減の284万トンだった。政府は食品ロスの発生量を30年度までに、00年度比で半減の490万トン程度に抑える方針。 |
ニーズに応え、工夫を 県内90店が登録 とっとり食べきり協力店
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協力店を周知するステッカー |
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少量パックの刺し身を並べる店員(まるごう東福原店) |
事業者と消費者が協力し、外食時や家庭での食べ残しを減らそうと、鳥取県は「とっとり食べきり協力店」の取り組みを進めている。現在、飲食店や宿泊施設、小売店など約90店が登録し、食品ロス削減のためのさまざまな工夫を取り入れている。
協力店の対象となるのは、小盛メニューなどの導入▽必要な量を購入できる販売方法の導入▽割引販売等による商品廃棄量の削減▽食品廃棄物のリサイクル−などの取り組みを一つ以上実践する店舗。登録された協力店は、県のホームページで紹介されている。
協力店の一つ、まるごう東福原店(米子市東福原6丁目)では、野菜のばら売りや魚、肉、総菜などの少量パック、ハーフサイズなどの販売、賞味期限間近の商品の値引き販売などを行っている。
同店は2016年の改装を機に、魚売り場を作業場が見える対面式とし、来店客からの魚の調理依頼に積極的に対応している。調理の際に出た魚のあらなどは、委託業者を通じて飼料や堆肥にリサイクルされ、有効活用される。
1人暮らしや少人数の家庭が増える中、刺し身の少量パックも好評だ。カルパッチョなど洋風の料理でも使いやすいように、ツマなしの商品も販売している。同店の島中大輔店長(44)は「発注量の予測や売り方の工夫など、これまで以上に丁寧な仕事をすることで、お客さまのニーズに応えつつ、食品ロスの削減につなげていきたい」と話す。
家庭から出る生ごみのうち、約4割は手つかずの食品や食べ残し、調理くず(可食部分)などの食品ロスが占める。県循環型社会推進課では「食品ロスを減らすためには、一人一人が意識し、日々行動することが重要。『とっとり食べきり協力店』などの情報を参考に、できることから取り組んでもらえたら」と呼び掛けている。
作り手の「物語」添えて 山陰三ッ星マーケット 「鳥取のいい!Bento」
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渡世代表(左)の呼び掛けで企画に携わった生産者と飲食店関係者 |
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生産者や料理人の顔が見えるリーフレット |
行き場を失った地元食材を、おいしい弁当に生まれ変わらせる取り組み「鳥取のいい!Bento」。店主のアイデアが詰まった弁当に物語を添えて販売し、地域と人をつなぐ。
山陰三ッ星マーケット(渡世唱子代表)と広告代理店「ジェイ・エス・エス」(鳥取市馬場)が企画。山陰地方で、こだわりと心のこもったオリジナリティーのある“三ッ星の店舗”約250軒がエントリーし、JR鳥取駅前のバードハットなどで定期的にマーケットを開催。食や雑貨など幅広い分野の店が並び、毎回多くの家族連れらでにぎわう。
しかし、コロナ禍で、昨年1月から催事ができなくなった。加盟する飲食店からの相談で、弁当の販売を思い付いた。ただ売るのではなく、これまで当たり前だった対面の良さを引き継ぐため、農家や料理人の思いを盛り込んだ「物語」を付けることにした。
初回は、同年5月に開催。卸し先のないフキノトウを渡世代表(51)が老舗寿司(すし)店に持ち込むと、寿司の具材として取り入れられ、春らしい一品になった。そこで同店で余っていたゲソを持ってお好み焼き店に相談すると、ゲソがたっぷり入った一品が生まれた。ほかにもホタルイカやショウガを使った弁当計4品を3日間限定で販売したところ、全品完売。弁当一つ一つにリーフレットを付けて、消費者に作り手の思いを伝えた。
弁当にまつわる物語は、鳥取市中心市街地活性化協議会の働き掛けで、動画にした。動画配信サイト「ユーチューブ」内の山陰三ッ星チャンネルで視聴できる。動画の配信は月1回で、次回は2月下旬の予定。
「食材ロスを抱える人が想像以上に多いが、材料を必要とする人に渡せば良品になる」と渡世代表。「作り手の思いを伝えることを大事にしたい」と意気込む。
気候変動時代を生きる
私たちの生活脅かす異常気象
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春を思わせる陽気になったかと思えば、突然の寒波。三寒四温とはいえ、極端に天候が変わる鳥取県内(18日、米子市内) |
2月に気温が20度を超え暖かくなったと思ったら、翌週には除雪が間に合わないくらいの暴風雪と、三寒四温というには極端な天候が続きました。天気予報で画面に映し出される天気図は、今まで見たことのないパターンばかりです。
そもそも異常気象とは、何十年に一度の極端な天候のことでしたが、昨年は9月になっても熱帯夜が続いたり、異常高温や集中豪雨と、異常気象の恒常化は私たちの生活のあらゆるところに影響を与えています。
鶏卵の価格高騰は、鳥インフルエンザによる処分で供給が減ったことが要因ともいわれていますが、シベリアからの渡り鳥が感染源であるその原因も温暖化と言われ、そこに家畜の免疫力が高温で弱くなっていることも被害を大きくしていると考えられています。
新型コロナウイルスもまだ収束していない中ですが、温暖化で感染症が増え、パンデミックが人類を襲うだろうということは、今世紀初めにはすでに科学者により警鐘が鳴らされていました。今後ワクチンが行き渡り、普通の風邪のように人類の脅威ではなくなったとしても、リオ五輪はジカ熱、東京五輪はコロナ、その次の感染症が襲って来ないと言い切れる根拠はどこにもありません。
コンクリートやプラスチックなど、地球上で人間が作ったあらゆる物の総重量が、地球上の生物の総重量を超えようとしている今、今までの延長線上に未来があるのではないと、異常な天気図は訴えているのではないでしょうか。
(鳥取県地球温暖化防止活動推進センター・山本ルリコ)
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